【飛行船】(ひこうせん)

軽航空機のうち、推力を持つもの。エンジンと舵を備えた気球
史上初めて実用化された輸送力を持つ航空機である。

名称の似ている「飛行艇」は重航空機の一種であり、飛行船ではない。

熱気球とするには重すぎて燃費が悪いため、水素・ヘリウムなどを充填して浮力を得る。
前進時の空気抵抗を減らすために気嚢(気球)は細長く形成され、これにエンジンプロペラなどの機械類が取り付けられる。
乗務員・旅客・貨物などは下部のゴンドラに釣り下げられる。

20世紀前半には太平洋・大西洋横断航路などで幅広く用いられた。
しかし1937年の「ヒンデンブルク号墜落事故」を契機として信用を失い、飛行機に置き換えられていった。
現代では広告宣伝や大気圏の観測などで小規模に用いられている。
また、無人機成層圏プラットフォームとしての利用法も研究が進められている。

また、前述の事故から可燃性・金属脆化性を持つガス(水素など)の利用は規制されている。
この規制を踏まえると、利用可能なガスは事実上ヘリウムのみに限られる。

関連:気球 成層圏プラットフォーム

種類

飛行船は、船体(気嚢)の作りによって以下の通り分けられる。

軟式飛行船
気嚢と船体が同一で、ガスの圧力で船体の形を維持するもの。
硬式飛行船
アルミや木材などで船体の枠を作り、その中に複数の気嚢を収納するもの。
ドイツのツェッペリン伯爵によるものが有名だったが、現在では生産されていない。
半硬式飛行船
ゴンドラを吊り下げる部分など、一部に金属の枠を取り入れたもの。
全金属製飛行船
気嚢部分まで含めて全てを金属材で構成するもの。
二十世紀中頃に一度検討されたが、金属加工のコストが高く工数も嵩むため普及しなかった。
当時の技術的課題の多くは解決済みだが、現代技術での再設計は特に行われていない。

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