【非武装地帯】(ひぶそうちたい)

Demilitarized Zone(DMZ(ディーエムズィー)).

国籍の定かでない土地に対して設定された、軍隊・武装集団の滞在が禁じられた地域。
基本的に領土間の境界線上で、休戦協定や条約に基づいて設定される。
当時国間の協定に基づいて設けられ、ここに軍隊が進駐する事は紛争の発生を意味する。

非武装地帯の協定が成り立つのは、その土地を軍事的に支配し続けるのが困難なためである。
つまり、非武装地帯に軍隊を進駐させた時点では奇襲が成り立つが、滞在し続けても防御面では優位でない。
むしろ防御側の戦略としては、交戦開始時の敵との距離は長ければ長いほど良い。
よって、どの当事国も、実際に宣戦布告するまでは非武装地帯の存在によって国防上の利益を得る。

同様の理由から、南極大陸・月面・火星なども国際条約で非武装地帯と定められている。
国連加盟国のどの国も、現状、そのような地域を実効支配するための莫大な予算を捻出できないからだ。
他国による占拠を許すのは危険だが、自国が占拠したところで兵站線が崩壊して失陥する事を避けられない。
この前提により、誰も領有しないし、誰かに領有させる事も許さない、という国際合意が成立した。

関連:軍事境界線?

慣用表現

原義から転じて、防御やリスクコントロールを意図して距離や時間を置く事を指して「DMZ」と呼ぶ事がある。

たとえば企業ネットワークの多くは、強固に保護されたDMZサーバーを経由しなければ外部と通信できないよう設定される。
これによってサイバーテロによる不正操作はDMZサーバーに阻止され、社内の端末まで届かなくなる。
また、社内の端末を使ったサイバーテロがインターネット上に拡散する事も阻止できる。


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