【半数必中界】(はんすうひっちゅうかい)

Circular Error Probability(CEP).
直訳すると「平均誤差半径」。

兵器の命中精度を測るのに使用される単位のひとつ。
発射した半数の着弾が見込める範囲を、目標を中心とした半径で表す。

なお、概念を単純化するために真円を想定する事も多いが、実際の誤差は楕円状に広がる。
誤差の原因となるような諸条件は、全て特定のベクトルをもって働くものだからだ。

半数必中界が「10m」であれば、同条件で発射された弾の半数は目標から10m以内に着弾すると期待される。
小さければ小さいほど命中精度が高く、狙った場所への効果を見込みやすい、とされる。
ただし制圧射撃や移動目標への攻撃を想定する場合、低すぎるCEPは実質的な効力・制圧力を減少させる。
またそもそも、CEPを減少させる試みは兵器のコストを増加させるため、必要以上の収斂は実用上の害となる。

弾道ミサイルの半数必中界は数kmにも達するが、一般に、それで良いものとされる。
大都市の中心から数km以内のどこであろうと、NBC兵器が着弾すれば都市は壊滅する。

「スマート爆弾(賢い爆弾)」と称される誘導爆弾であっても、実際のCEPは数m程度で頭打ちとなる。
一区画を丸ごと吹き飛ばす量の爆薬を投下する際、その配置が1mズレている事は普通問題にならない。

航法における平均誤差半径

CEPは兵器の命中精度だけでなく、航法の分野でも問題になる事がある。
この文脈の場合、「情報としての確度が50%に達する半径」をCEPとする。

そもそも航法は観測された情報からの推定であるため、計測機器の誤差が常に問題となる。
誤差のない時計は原理的に存在し得ず、誤差のない測距もまた原理的に不可能である。
従って、航法で示された緯度・経度・高度は全て確率上の分布であり、不可避な誤差を伴う。


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