【通常動力】(つうじょうどうりょく)

原動機(エンジンおよびモーター)のうち、原子炉を用いないものの総称。

通常はガスタービンエンジンディーゼルエンジンなどの内燃機関、および電動機を指す。
サイエンス・フィクションを別とすれば、普通は大型の軍用艦艇にのみ通用する語である。

かつては商船にも原子力推進を採用することが試みられ、アメリカの「サヴァンナ(NS Savannah)」、日本の「むつ」、(西)ドイツの「オットー・ハーン」などといった船が(実験船を兼ねて)建造されたこともあった。
しかし、膨大なコストから商船としての採算に乗らず、現在ではロシアが運用する原子力砕氷船を除いてすべて退役している*1

科学技術としては非常に古く非効率的側面も多いが、「放射能汚染がない」という一点だけでも原子炉の持ちうる全ての利点を上回る評価を得ている。
膨大な燃料の貯蔵・輸送が必要になるという欠点をどうしても看過できない場合(潜水艦航空母艦、発電所など)を除けば、今日でも軍用・民間用を問わず幅広く採用されている。

関連:航空母艦 潜水艦


*1 アメリカの「サヴァンナ」は1972年に廃船後、博物館船として展示。
  西ドイツの「オットー・ハーン」は原子炉を撤去して通常の貨物船に改装されたが後に廃船。
  日本の「むつ」は1993年に原子炉を撤去後、1996年に海洋地球研究船「みらい」へ改装されている。


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