【対物ライフル】(たいぶつらいふる)

Anti Material Rifle.

12.7mm〜20mm口径徹甲弾焼夷弾を発射する狙撃銃
重機関銃機関砲の弾丸を流用する*1が、フルオートでの射撃は行えない。

大抵はボルトアクションライフルで、射手を保護する巨大なマズルハイダーを持つ。
一部ブルパップ形式で全長を短くしたり、セミオートを採用したものもある。

弾丸が重いため遠距離でも速度減衰や風によるブレが少なく、有効射程は1マイル(1.6km)以上。
装甲兵員輸送車歩兵戦闘車ヘリコプター程度の軽装甲は貫通可能。
装甲の薄い箇所に直撃させれば、主力戦車を無力化する事も理論上可能である*2

基本的には小口径狙撃銃の射程外からの超遠距離狙撃に用いられる。
また、人質篭城事件などの包囲戦で車両を撃破したり、壁や窓を貫通して屋内の標的を狙撃するにも用いられる。
非常に精密に加工されたパーツを多く使用するため通常の狙撃銃よりも極めて高価で、重量もかさむため、運用には専門の特殊部隊を要する。

なお、対物ライフルはハーグ陸戦条約に基づく国際慣習として「過度の傷害・無用な苦痛を与える兵器」に分類されている。
よって、「他に攻撃手段を持っている場合は」直接人間に照準、発砲してはならない事になっている。
とはいえ、武器の使用制限に関する条項はどの軍隊も真面目に守ろうとしない傾向にあり*3、対人攻撃にも使用される。

20mmの弾頭が人体に命中した場合、直径20cm以上に渡って肉も骨も原形を留めず挽き潰される。
最も幸運であれば、指先に命中して手足一本が吹き飛ぶ。肩なら首が千切れて心臓が抉られ、腹なら胃腸と腹部大動脈が消失する。
ショックで即死しなかったとしても手の施しようのない大量出血を招き、奇跡的に生還できても重篤な後遺症が残る。

代表的な対物ライフル

  • バレットM82(アメリカ)
  • ボーイズ対戦車ライフル(イギリス)
  • パンツァービュクセ(ドイツ)
  • マウザーM1918(ドイツ)
  • シモノフPTRS1941(ソ連)
  • デグチャレフPTRD1941(ソ連)
  • MOM ゲパード(ハンガリー)
  • 小倉陸軍造兵廠 九七式自動砲(日本)


*1 ただし、射撃に及ぼす影響を少なくするため規格は同じでも狙撃用の精密なものを用いるか、更に精度を求める場合は合金削り出しの特注品を用いる場合もある。
*2 実戦で成功する望みは薄いが、ともかく最低限の応戦は可能である。
*3 戦術的に見て明白に愚かな行為、例えば1km先から対物ライフルで狙撃できるのにあえて拳銃に持ち替えて突撃するような行いは「攻撃手段」として認められない。
  よって、ほとんどの状況では「他の攻撃手段はなかった」という主張に正当性が認められる。


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