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【戦闘糧食】 †
Combat Ration.
軍隊において、主に緊急・戦闘・災害発生時に食される保存食。
緊急時の栄養補給を前提としているため、基本的に高カロリー・高塩分。
また、深刻な状況下における娯楽としても認知され、味と温度*1に特に力が注がれる。
基本的に非常食であり、戦時であっても基地や艦船でしっかりと調理された食事の方が望ましい。
とはいえ永久に保存できる性質のものでもないため、スナックや夜食代わりに消費される事も多い*2。
また、今日では災害救援物資として避難所などに配布される事も多々ある。
官給品であるため、一般市場に出回る事は基本的にない*3。
とはいえ、メーカーが「戦闘糧食と同じ製法で作った保存食」を一般向けに卸してはいけない理由もない。
軍隊が広報用として一般向けに戦闘糧食(と銘打った民生用の保存食)を販売する事もある。
民生用のものはカロリーや塩分を抑えてある事が多い。
主な構成 †
多くの国で採用されている戦闘糧食の構成は、概ね次の通りといわれている。
- 缶詰・レトルトパックなどで封入された主食または副食
- 真空密封包装されたクラッカー・パンなど
- チョコレート・ガム・飴などの菓子類
将兵の興味を引き、ストレスを和らげ、士気向上や気力の維持に効果があるという。 - 飲料類(ティーバッグ、粉末ジュース、インスタントコーヒー・ココア、粉末スープ類など)
個人携行のものに添付され、湯や湯冷まし*4に入れて飲む。 - 簡単な食器類(スプーンなど)
- 簡易ヒーター(固形燃料・コンロや生石灰と水の反応熱を利用したものなど)
各地の食文化や気候、軍隊の抱える事情も反映されており、国ごとに特色がある。
多国籍軍や国連PKF、同盟国の合同軍事演習などで戦闘糧食の交換・品評会が行われる事もある。
各国の戦闘糧食 †
- 自衛隊
米食文化の影響から、米飯関係が特に充実している。
- アメリカ軍
- カナダ軍
メニュー構成が非常に豊富といわれている。- Individual Meal Pack
- Individual Meal Pack
- イギリス軍
紅茶文化の影響から、ティータイムに重きを置いている*5という。付属の粉末ドリンクは一袋で1Lにもなる。- 24 HOUR RATION
- フランス軍
味に特化され、市販品や民族料理も多用した多彩なメニュー構成となっている。大抵レーションの食べ比べで一番美味と言われる。- RATION DE COMBAT INDIVIDUELLE RECHAUFFABLE
- ドイツ軍?
- Einmannpackung (EPA)
- イタリア軍
過酷な保管環境でも劣化しないよう厳重に密封パックされており、ワインやデザートまでついている。- FORZE ARMATE/RAZIONE VIVERI SPENTOCIALE DA COMBATTIME
- ベルギー軍
- RATION DE COMBATS CONDITIONNEE
- ロシア軍
寒冷地であることから、温かい食事を取れるような工夫がなされているという。ИНДИВИДУАЛЪНЫИ РАЦИОН ПИТАНИЕ
- オーストラリア国防軍
- CR1M
- 韓国軍
- 携帯糧食1型(パックめし。カレーもしくは炸醤飯と、副食のキムチ)
- 携帯糧食2型(フリーズドライ。3種類のビビンバ。副食に味噌汁・ごま油・キムチの汁・チョコレートなどが付属)
*1 冷たい食事はただ冷たいというだけで不味く感じられる傾向にある。
*2 頼まれても誰も食べないような絶不評の代物もないではないが。
*3 日本でも「観賞用」という、いささか理解に苦しむ名目で販売している店舗も多少ある。
「鑑賞用」なのは衛生管理上の理由などから食品としての販売に問題があるため。
*4 戦地では飲用に適さない水を煮沸して飲むことが多い。
*5 行軍中であろうと必ず休憩してティータイムを設け、SASはポットで紅茶を持ち運ぶと言われるほど重要な習慣である。