【川崎重工業】(かわさきじゅうこうぎょう)

川崎重工業株式会社
(KHI: Kawasaki Heavy Industries)

オートバイや航空機、船舶、鉄道車両などの製造を行っている日本の機械メーカー。川崎重工とも略される。
本社は兵庫県神戸市中央区に所在する。

もともとは1878年、東京・築地に「川崎築地造船所」として設立されたが、大規模な工場の敷地を求めて1896年に神戸へ移転し「川崎造船所」となった。
1918年から航空機の製造を開始し、1937年にこの部門を「川崎航空機」として分社する一方*1、本体は1939年に現在の社名「川崎重工業」となった。
戦後の1969年に分社していた3部門を合併し*2、ほぼ現在の体制となる。

創業分野である造船部門*3は多くの艦船を世に送り出している。
特に潜水艦に関しては戦前から多数を手がけており、日本の先駆者的存在である。現在は三菱重工業神戸造船所とシェアを二分する。*4

航空機分野で有名な製品には、第二次世界大戦時代の飛燕や、戦後に自衛隊へ納入されたOH-1C-1T-4、独MBB社*5と共同生産した商用ヘリコプター・BK117などがある。
また、これ以外に日本や欧米の一部メーカーの旅客機製作にも(コンポーネントの一部製作という形で)協力している。

メーカーホームページ
川崎重工業:http://www.khi.co.jp/

関連:B767 B777 B787 A321 YS-11 US-2 

主な製品

航空機

川崎航空機時代
戦闘機九二式戦闘機
キ5試作のみ
九五式戦闘機(キ10)
キ28試作のみ
キ38複座戦闘機。試作のみ
二式複座戦闘機「屠龍」(キ45改)
キ60試作のみ
三式戦闘機「飛燕」(キ61)
キ64液冷式発動機「ハ201」*6を搭載し、二重反転プロペラ
翼面蒸気冷却方式を採用した高速戦闘機。
テスト中にエンジン火災で機体を破損し、そのまま終戦。
キ88エンジンを胴体中央に配置し機首に大口径機関砲を装備した
防空戦闘機?*7
陸軍の製作機種統合整理により開発中止。
キ96二式複座戦闘機「屠龍」の性能向上型。不採用。
五式戦闘機(キ100)三式戦闘機にハ112-II空冷エンジンを搭載したもの。
キ102襲撃機/戦闘機
連合軍のコードネームは"Randy"。
戦闘機型はキ102甲、襲撃機型はキ102乙と呼ばれた。
キ108キ102ベースの高高度戦闘機。
試作のみ。
キ119戦闘襲撃機
設計原図の段階で終戦。
爆撃機八七式重爆撃機丁式2型爆撃機(ファルマン F.60爆撃機)の代替機。
設計・試作機製造はドルニエ?
八八式軽爆撃機八七式軽爆撃機の後継機として八八式偵察機を爆撃機化した機体。
九三式単軽爆撃機(キ3)
キ22計画爆撃機
九八式軽爆撃機(キ32)
九九式双発軽爆撃機(キ48)
四式重爆撃機「飛龍」三菱航空機からの受託生産
キ66急降下爆撃機。試作のみ。
キ81軽爆撃機。試作のみ。
キ85海軍の「深山?」を陸軍仕様に改修したもの。試作のみ
キ91試作中止
偵察機八八式偵察機社内呼称:KDA-2
輸送機一式貨物輸送機(キ56)
研究機「研三」(キ78)
キ89
誘導弾イ号一型乙無線誘導弾無線誘導?式の空対地/空対艦誘導弾
試作のみ。


現在(川崎重工業航空宇宙カンパニー)
戦闘機F-2A/B三菱重工業と分担生産
コンポーネントの一部製作
練習機T-4
T-33AロッキードT-33のライセンス生産
KAT-1
輸送機C-1
C-2
哨戒機P2V-7ロッキードP-2のライセンス生産
P-2JP2V-7改
ライセンスで独自開発
P-3CロッキードP-3のライセンス生産
P-1
連絡機KAL-1
実験機飛鳥NAL(科学技術庁航空宇宙技術研究所)との共同開発
KAL-2
観測ヘリコプターOH-6J/Dヒューズ MD500のライセンス生産
OH-1
輸送ヘリコプターKV-107ボーイング・バートルV-107*8ライセンス生産
CH-47Jボーイング・バートルCH-47のライセンス生産
増槽付きのJA型は国内開発
MCH-101アグスタウェストランドAW101のライセンス生産
商用ヘリコプターBK117独MBB社との共同開発・生産
ベル47Gベル47のライセンス生産
KH-4ライセンスで国内開発
正式名:ベル47G-3B
対戦車ミサイル64式対戦車誘導弾ATM-1、通称「MAT」
79式対舟艇対戦車誘導弾ATM-2、通称「重MAT」
87式対戦車誘導弾ATM-3、通称「中MAT」
愛称は「タンクバスター」
96式多目的誘導弾ATM-4、略称"MPMS"
01式対戦車誘導弾ATM-5、略称"LMAT"


船舶

川崎造船所時代に建造
航空母艦翔鶴型:瑞鶴
大鳳
飛鷹型:飛鷹
雲龍型:生駒(未成)
水上機母艦瑞穂
秋津洲
戦艦金剛型:榛名
伊勢型:伊勢
加賀型(未成):加賀(船体のみ、後に航空母艦に改装)
トンブリ級海防戦艦(タイ王国海軍の主力艦)
重巡洋艦古鷹型:加古
青葉型:衣笠
妙高型:足柄
高雄型:摩耶
最上型:熊野
軽巡洋艦5500トン級
球磨型:大井
長良型:鬼怒
川内型:神通
防護巡洋艦平戸
練習艦?館山
通報艦
駆逐艦神風型:朝風、春風、時雨、初春、卯月
樺型:楠、梅
磯風型:時津風
樅型:梨、竹、菊、葵、蔦、葦
若竹型:若竹、呉竹
初春型:有明
朝潮型:荒潮、朝雲
陽炎型:初風
松/橘型:梨
海防艦丁型海防艦:
38号、46号、56号、60号、68号、78号、82号、112号、118号、124号、126号、130号
(78号以降は泉州工場)
水雷艇22号型:35号、36号、61号(3隻とも組立のみ)
67号型:74号、75号(2隻とも組立のみ)
隼型:千鳥(組立のみ)、鷂、鴻
敷設艇木造水雷敷設艇(1894年、呉海軍工廠より受注)
初島型電纜敷設艇*9:初島、釣島
給油艦能登呂(竣工時、1934年に水上機母艦に改装)
知床型:知床、襟裳
隠戸型:隠戸
給糧艦?間宮、伊良湖
砕氷艦?大泊
潜水艦(括弧付きは未成)
第6型
(ホランド改型)
第6、第7
川崎型波6
呂1型
(F1型)
呂1、呂2
呂3型
(F2型)
呂3、呂4、呂5
呂29型
(特中型/海中5型)
呂29、呂30、呂31、呂32
呂100型
(小型)
呂101、呂102、呂104、呂105、呂106、呂108、呂109、呂110、呂111、呂112、呂113、呂114、呂115、呂116、呂117
伊1型
(巡潜1型)
伊1、伊2、伊3、伊4、伊5
巡潜2型伊6
伊7型
(巡潜3型)
伊8
伊9型
(巡潜甲型)
伊10、伊11、伊12
伊13型
(巡潜甲型改2)
伊13、伊14、(伊15)、(伊1)
伊15型
(巡潜乙型)
伊21、伊23
伊16型
(巡潜丙型)
伊22、伊24
伊168型
(海大6型a)
伊71、伊73
伊176型
(海大7型)
伊177、伊179、伊183
波101型
(潜輸小型)
波101、波102、波103、波105、波106、波107、波108、(波110)、波111


分社前に建造
艦種艦型建造艦
駆潜艇
(PC)
うみたか型PC-309「うみたか」
みずとり型PC-311「みずとり」
護衛艦
(DE)
いかづち型DE-202「いかづち」
対潜護衛艦
(DDK)
あやなみ型DD-105「うらなみ」
潜水艦
(SS)
おやしお型(初代)SS-511「おやしお」
はやしお型?SS-522「わかしお」
なつしお型SS-524「ふゆしお」
あさしお型SS-562「あさしお」
SS-564「みちしお」
うずしお型SS-566「うずしお」
SS-568「いそしお」
SS-570「くろしお」
SS-572「やえしお」
ゆうしお型SS-574「もちしお」
SS-576「おきしお」
SS-578「はましお」
SS-580「たけしお」
SS-582「さちしお」
はるしお型SS-584「なつしお」
SS-586「あらしお」
SS-588「ふゆしお」
おやしお型(2代)SS-590「おやしお」
SS-592「うずしお」
深海救難艇潜水艦救難母艦「ちよだ」搭載艇
潜水艦救難艦「ちはや」搭載艇
分社後に建造
潜水艦
(SS)
おやしお型(2代)SS-594「いそしお」
SS-596「くろしお」
SS-598「やえしお」
SS-600「もちしお」
吸収合併後に建造
潜水艦
(SS)
そうりゅう型SS-502「うんりゅう」
SS-504「けんりゅう」
SS-506「こくりゅう」



*1 車両部門も1928年に「川崎車輌」として独立している。
*2 製鉄部門である「川崎製鉄」は吸収されず、後に日本鋼管と合併して「JFEスチール」となっている。
*3 2002年に川崎造船として分社したが、2010年10月に再度合併。
*4 現在は毎年、川崎・三菱の2社で1隻づつ交互に建造し、海自に納入している。
*5 現在のエアバス・ヘリコプターズ社の前身の一つ。
*6 ハ40?を延長軸で串型に2つ結合したもの。
*7 この構成はアメリカのベルP-96「エアラコブラ」?と同じ仕組みである。
*8 アメリカ軍での制式呼称はCH-46
*9 要地防衛のために有線爆破型の機雷を設置する船。

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