【成田空港】(なりたくうこう)

千葉県成田市に所在*1する拠点空港
もともとの正式名称は「新東京国際空港」だった*2が、2004年4月1日に管理していた公団が民営化すると同時に、通り名の「成田空港」が正式名称となった。

本空港は、1960年代になって増加する航空需要から収容量の限界を迎えつつあった羽田空港の混雑緩和策として、1966年「成田新空港」として計画が発表された。
ところが、計画立案の過程で地元住民の同意を取り付けないまま建設を強行したため、住民及びこれに同調した左翼過激派*3の激しい反発にあい、政府や県、警察とのゲリラ戦にまで発展したため建設が遅れたものの、1978年5月に4000m級滑走路1本を持つ国際空港として開港。
その後、2002年には中距離フライト向けの2000m級滑走路が整備され、収容量を一層増やした。

しかし、それでも滑走路スポットなどが航空需要に追いつかず、常にパンク状態であるため、さらなる拡張が必要とされている。

ところが、2000年代になって羽田空港の方が大拡張され、同空港への国際線の乗り入れも再開されたため、本空港自体のあり方が問題視されつつある。
このため、2010年代以後国内線の増便やビジネス機LCCの受け入れを推進している。

少ない離発着回数で多くの旅客・貨物を運ぶためにジャンボジェットが世界で最も多く乗り入れており*4、扱う物資の取引額は横浜港を抜き日本一である*5

関連:くの字誘導路

「戒厳令空港」

本空港の(他の空港には見られない)厳しい警備体制を揶揄した異名。

前述のとおり、本空港の建設にあたっては地域住民及びこれに同調した左翼過激派による警察とのゲリラ戦が展開され、当初の開港直前には管制塔が破壊されて開港が延期される*6という事態にまでなった。
こうした経緯から、本空港を所管する千葉県警には「成田空港警備隊」という常設の警備部隊*7が編成されており、また、本空港施設への立ち入りには検問所で身分証明書の提示が必要とされるなど、商用空港としては異例の警備態勢が敷かれていた。
このため、混雑時にはチェックインまでに非常に時間がかかるなど問題となっていた。

その後、周辺情勢の変化や技術の進歩によって検問体制の見直し*8が行われることとなり、2015年3月には検問所が「ノンストップ・ゲート」化され、事実上の廃止となった。

空港情報

種別拠点空港(会社管理・旧第一種
滑走路4,000m×60m(16R/34L)/2,500m×60m(16L/34R)
3レターコードNRT
4レターコードRJAA
ILSあり
設置・管理者成田国際空港株式会社


所在の官公庁航空組織

  • 千葉県警察本部地域課
    • 千葉県警察成田国際空港警備隊(常設の機動部隊)
    • 千葉県警察航空隊(AW139BK117及びベル206を装備。成田国際空港警備隊の航空課も兼務)

本拠空港・ハブ空港としている航空会社


*1 用地の一部は山武郡芝山町及び香取郡多古町にもまたがっており、用地内にはこれら1市2町の18の大字が存在する(用地買収・建設にあたって地名変更や地番整理がされなかったため)。
*2 このため、羽田空港とはマルチエアポートの関係にあり、航空券や時刻表では「東京(成田)」と表記されているものがある。
*3 計画当初はベトナム戦争が継戦中であり、日本もアメリカ軍兵站拠点となっていたことから「軍事基地への転用」が危惧され、反戦運動のターゲットになっていた。
*4 ただし、日本航空及び全日本空輸はB747を全機退役させており、同空港に乗り入れる日本籍のB747は日本貨物航空が運用する貨物機型のみとなっている(同社は本空港を拠点としている)。
*5 取扱品目としてはコンピュータなどの事務用機器や半導体などが多いが、魚介類の輸入通関も多く「成田漁港」とも呼ばれている。
*6 当初は1978年3月に開港の予定だったが、この事件で同年5月に延期された。
*7 編成上は千葉県警の隷下にあるが、運営は国(警察庁)が直接行っており、隊員も全国の警察から選抜されている。
*8 テレビカメラと「顔認証」システム、爆発物探知犬などによって不審者の出入りや危険物の持ち込みを監視する体制にする、という。

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