【巡洋艦】(じゅんようかん)

水上艦の一種で、外洋を長距離航行することを主眼に置いたもの。
一般に、戦艦より小さく、駆逐艦より大きい艦を指すが、その定義は時代や国によって異なる。
もともとは、欧州の海軍で本国から遠く離れた植民地を監視するため、航洋性に優れた軍艦を必要としたことが起源である。

定義が明確にされたのは、ワシントン海軍軍縮条約においてのみである。
その定義は「基準排水量が10,000トン以下で、主砲の口径が8インチ(20.3cm)以下の艦」となっている。*1

駆逐艦には速力で劣るが装甲と火力で勝り、戦艦ほどの装甲と火力は無いが速力で勝る中堅的な艦として、敵艦船との砲撃戦から沿岸砲撃、船団護衛まであらゆる局面に使用できるので、実質的に海軍の作戦行動の中核をなしていた。
とくに太平洋戦争の初期には、米戦艦が真珠湾攻撃で壊滅していたこと、大部分の日本戦艦の脚が遅く柔軟な使用ができなかったこと、双方ともに航空兵力が十分でなかったことなどが影響して、スラバヤ沖海戦?第一次ソロモン海戦?など巡洋艦の活躍する場面が多々あった。

米軍での表記

  • C:巡洋艦(Cruiser)
  • CA:重巡洋艦(デ・モイン級他)
  • CL:軽巡洋艦(アトランタ級他)
  • CLAA:防空軽巡洋艦(サンディエゴ級他)
  • CS:偵察巡洋艦(チェスター級)
  • CB:大型巡洋艦(アラスカ級)
  • CAG:ミサイル重巡洋艦(ボストン級)
  • CLG:ミサイル軽巡洋艦(トペカ級他)
  • CSGN:原子力打撃巡洋艦(計画中止)
  • CLK:フリゲート(旧 嚮導駆逐艦)対潜艦(Light-Hunter-Killer) (ノーフォーク級)
  • CG(N):(原子力)ミサイル巡洋艦(ヴァージニア級・タイコンデロガ級他)

*1 更にその後のロンドン海軍軍縮条約で、更に主砲の口径によって重巡洋艦と軽巡洋艦とに分けられた。
  しかし、現在の巡洋艦ではそもそも主砲自体が形骸化してしまったため、そのような区別は無意味になっている。


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS