【秋水】(しゅうすい)

三菱・J8M(キ200)「秋水」。

第二次世界大戦末期、日本陸軍日本海軍が共同で開発・生産したロケット推進迎撃戦闘機
ドイツのMe163「コメット」の図面を基に開発された。

当初はMe163の技術資料が潜水艦でドイツから送られてくることになっていたが、その潜水艦がシンガポール出港後に撃沈されてしまう。
しかし、同艦に便乗していた者がシンガポールで零式輸送機に乗り換えて日本へ向かったため、資料の完全な散逸こそ免れたが、不完全な資料しか持ち込めなかった。

開発当時、日本軍部は本土へ空襲を仕掛けてくるB-29の迎撃に苦慮しており*1燃料酸化剤を機内に搭載するロケット戦闘機は有用と判断され、陸軍・海軍・民間の三者合同で開発が進められた*2

1945年7月7日に初飛行が行われた本機は、終戦までに7機が生産されたのみに終わった。
現在は三菱製の1機が現存しており、アメリカ・カリフォルニア州チノのプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館に展示保存されている。
また、1961年に日本飛行機杉田工場の拡張工事の際に発見された機体の一部は、航空自衛隊岐阜基地で保管された後、1997年に三菱に譲渡され、残された1,611枚の設計図をもとに復元され、現在は愛知県豊山町の「名古屋航空宇宙システム製作所史料室」に展示されている。


*1 従来の戦闘機はエンジン排気タービンを搭載していなかったため、B-29の飛行する高度10,000m圏内では高度を維持するのがやっとという状態だった。
*2 これは、セクショナリズムの弊害が強かった当時の日本では画期的なことであった。

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