【事業用操縦士】(じぎょうようそうじゅうし)

Commercial Pilot License(CPL).

日本の航空法において定められている、航空機パイロット航空士)の資格のひとつ。

報道機関の取材や遊覧飛行・農薬散布など、報酬を受ける業務として航空機を操縦するのに必要な資格で、自動車の「第二種運転免許」に相当する。

定期航路の旅客機貨物機副操縦士には、この資格もしくは「准定期運送用操縦士」の資格が必要。なお、機長としての業務に就くには定期運送用操縦士の資格が必要となる。

また、警察、自治体の消防・防災担当部署*1海上保安庁自衛隊*2で勤務するパイロットにもこの資格が必要とされる。

業務範囲は、航空法により

  1. 自家用操縦士が行うことができる行為
  2. 報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦
  3. 航空機使用事業の用に供する航空機の操縦
  4. 機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦
  5. 機長として、航空運送事業の用に供する航空機であつて、構造上、一人の操縦者で操縦することができるものの操縦

とされている。

関連:ゼネラル・アビエーション ビジネス機 准定期運送用操縦士 航空大学校 航空学生

資格取得の要件

本資格は「飛行機」「回転翼航空機」「飛行船」「上級滑空機」「動力滑空機」の5種に分かれており、その取得要件は、航空法施行規則別表により以下のように定められている。

種類年齢飛行経歴
飛行機18歳以上総飛行時間200時間以上
(100時間以上の機長飛行、出発地点から540km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む20時間以上の機長としての野外飛行、
機長としての5回以上の離着陸を含む5時間以上の夜間飛行、模擬計器飛行を含む10時間以上の計器飛行
回転翼航空機総飛行時間150時間以上
(35時間以上の機長飛行、出発地点から300km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む10時間以上の機長としての野外飛行、
機長としての5回以上の離着陸を含む5時間以上の夜間飛行、模擬計器飛行を含む10時間以上の計器飛行、オートローテーションによる着陸
飛行船総飛行時間200時間以上
(20回以上の離着陸を含む50時間以上の機長飛行、出発地点から180km以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む
10時間以上の機長としての野外飛行、10時間以上の夜間飛行、模擬計器飛行を含む10時間以上の計器飛行)
上級滑空機15時間以上の機長滑空、75回以上の滑空、5回以上の失速からの回復の方法の実施
動力滑空機20回以上の滑空着陸を含む15時間以上の単独滑空、20回以上の発動機作動中の着陸
及び飛行機によるものを含む15時間以上の単独動力飛行、飛行機によるものを含む5回以上の失速からの回復の方法の実施



*1 消防機関や自治体の防災担当部署が運行する航空機(ヘリコプター)については、操縦業務が外部の民間企業に委託されているケースが多い。
  ただし、東京都の東京消防庁のように操縦士の自家養成を行っている自治体もある。

*2 航空自衛隊が運用する政府専用機のパイロットはこれに加え、部外(全日本空輸)での教育により「B777限定の定期運送用操縦士」資格も併せて取得している。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS