【工兵】(こうへい)

military engineer / combat engineer / pioneer.

軍隊における兵科のひとつで、戦場で各種の工事を行う兵。
敵と銃火を交える事ではなく、主力部隊機動経路や兵站の構築を主任務とする。

通常、陸軍の各師団には、連隊・大隊規模の工兵部隊が随伴する。
また、これより規模の小さい部隊(旅団や連隊)が中隊規模の工兵を指揮下に置くこともある。

戦闘が予期される場合、基本的には歩兵などに護衛されながら作業を行う。
しかし「誰かが道を切り開かなければならない」状況を打破するために突撃せざるを得ない場合もある。
古くは城塞の壁面、現代では地雷原と鉄条網を切り裂いて後続が通る道を作るのも工兵の任務である。
そうした危険な任務を担当する「戦闘工兵」がエリート部隊として敬意の対象となる事も多い。

工兵が「pioneer(先駆者・開拓者)」と呼ばれるのは戦場で先陣を切って道を切り開く事から。
この関係で、草創期の戦車航空機も戦闘工兵の領分とされていた時期があった。

任務のために建設機材を備えるため、平時には橋・道路・鉄道・ダムなどの建設*1や災害復旧に従事する。

関連:施設科 シービー

工兵の主な任務

  • 建設工兵
    • 鉄道・道路など交通インフラの建設・整備、場合によっては運営
    • 軍事機密に抵触する施設の建設・整備
    • 渡河作戦の支援
    • 測量・地図作成*3
    • 戦闘を想定した坑道・トンネルの掘削*4

*1 特にゼネコンが存在しない開発途上国では、軍の工兵部隊がインフラ建設の主力となることが多い。
*2 現代では「化学科」として独立兵科を設ける場合が多い。
*3 ほとんどの国家では、精密な地形図を軍事機密として厳重に管理する。
 (現代では情報化が高度に進んで隠蔽が困難になっているが)本来、地図の流出・漏洩は死刑に値する利敵行為である。

*4 敵の要塞や陣地の真下までトンネルを掘り、占領部隊を突入させたり、爆薬を仕掛けて要塞を吹き飛ばす。
  空爆空挺降下に比してナンセンスな行為であるため、第二次世界大戦以降はほとんど行われていない。


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