【軽航空機】(けいこうくうき)

航空機のうち、機体全体の比重が空気よりも軽く、放っておいても空中に浮かんでいられるもの。
これに対し、放っておくと落下し、滞空するために揚力ないし推力を必要とするものを重航空機と呼ぶ。

紛らわしいが、「軽飛行機」は重航空機に分類される。

現実に存在する全ての軽航空機は、気嚢(袋)に大気より軽いガスを詰め込む事で浮力を得ている。
推力を持たない気球と、推力を備えた飛行船とに大別される。

重航空機よりも空中へ上がることができ、航空史初期の中心的存在であった一方、下記のような弱点も多い。

  • 体積の大半を気嚢が占め、浮力を大きくすることが難しいことからペイロードが限られる。
  • 気嚢の空気抵抗が非常に大きく、速度の向上が難しい。
  • 気嚢に充填する気体ごとに運用制限がある。
    • 気嚢に水素を充填する場合、引火による爆発事故の危険性がある。*1
    • 気嚢にヘリウムを充填する場合、非常に高価となる。
    • 気嚢に熱した空気を充填する場合、浮力が非常に小さいため大型化できない。

速度・重量制限が厳しく、高度な性能要求を満たす事ができないため、重航空機が発達すると共に廃れていった。
現代では広告・気象観測・遊覧飛行でしか用いられていない。
将来の展望としては成層圏プラットフォームなど定点浮遊用途での研究がされている。


*1 水素飛行船の事故としてはヒンデンブルク号が有名であるが、こちらは後に「水素が爆発したのではなく、静電気により気嚢の外皮が燃え上がった」とされている。

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