【軍事目標】(ぐんじもくひょう)

軍事作戦によって生じた損害について国家が免責を保証する物件・資産。
これ以外のものに対する攻撃は文民統制の範疇外となり、戦時の混乱に乗じた犯罪とみなされる。

現代ではジュネーブ条約ハーグ陸戦条約などの戦時国際法を根拠とする。
基本的には軍隊が直接使用するもの、軍事目的で利用されているものが軍事目標である。
産業施設や社会インフラも軍隊が利用する場合に限っては軍事目標であると認められる。

この定義上、「軍事目標ではない」と認定するのは非常に困難である。
無人の荒野で会戦したのでもない限り、誰が敵なのか、何が軍事目標なのかは渾然として判断しがたい。
実際、攻撃を行った後に誤射であったと発覚する*1事例も少なくない。

誤解されがちだが、そうした誤射は基本的に違法なものではない。
攻撃に伴う法的責任が国家にある限り、その過程において不可避な事故の責任も国家に帰する。
つまりは法で裁かれるべき領域ではなく、外交交渉で解決すべき超法規的な問題となる。
服務規程に抵触するような悪意や怠慢が認められない限り、個人の法的責任は問われない。

関連:戦略爆撃 人間の盾


*1 攻撃を受けた側の当時国が「誤射であった」と主張するのみで、実際の事実確認が行われていない事例もある。

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