【空中給油】(くうちゅうきゅうゆ)

航空機着陸・着艦せず、空中で別の航空機から燃料の補給を受けること。

通常、そのような給油を行うための空中給油機が用意される。
近年の航空母艦ではマルチロールファイター増槽と給油ポッドを取り付けて給油機に転用する事が多い。

実質的な航続距離作戦行動半径を飛躍的に伸ばし、CAPや訓練の高効率化、奥地侵攻等が可能となる。
燃料切れによる墜落が予想される場合の救助・事故予防にも使われる。

また、艦載機などの軽量な機体はペイロードに余裕が少なく、過積載で離陸できなくなる場合がある。
その場合、兵装類を優先して燃料の少ない状態で離陸し、後から空中給油で補給する事がある。

空中給油機は直接戦闘能力に欠け、航空優勢が確保されていない危険空域では運用にリスクを伴う。
このため、最終的な作戦行動範囲は機体本来の航続距離性能に大きく依存する。

ストライクパッケージのような大規模攻勢対航空作戦では、護衛の戦闘機を帯同して敵地上空に赴く事もある。

関連:空中給油機 空中加油機 寄生戦闘機 空中における航空機に対する給油機能及び国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機

略史

空中給油は1923年にアメリカ陸軍航空隊が初めて実験を行って以来、各国で研究が進められていた。
この当時の空中給油は給油機からホースを垂らし、被給油機の後部座席に乗る乗員がこれをキャッチして給油口に差し込むものだった。
しかし、この方式ではプロペラにホースが絡む危険性があり、実用には至らなかった。

第二次世界大戦以降、ジェットエンジン戦闘機の主流となってから研究は加速。
朝鮮戦争期(1950年代前半)に基礎的な技術が確立され、以降、寄生戦闘機方式から急速に移り変わっていった。

現在では、大きく分けてフライングブーム式とプローブ&ドローグ式の二つが採用されている。

http://www.masdf.com/altimeter/kagamigahara/s/tyep88r.jpg
(初期の空中給油試験。八八式偵察機?)


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