【空間識失調】(くうかんしきしっちょう)

Vertigo(バーテイゴ).

加減速のGと重力の混同、視覚と体感重力の食い違いなどによって生じる方向感覚の混乱。
地上を見て確認する事ができない雲中・夜間など、あるいは外界が見えない客室内で発生する事が多い。
眩暈などの症状を伴い、乗り物酔い・映像による3D酔いなどとの関連も指摘されている。

例えば、旅客機の乗客は、離陸直後に「まっすぐ上昇している」と思い込む傾向にある。
しかし、窓をよく注視していると「実は空港の周囲を旋回している」という事がままある。
この時、乗客は空間識を失調し、自分がどの方向に動いているか認知できなくなっているのである。

パイロットがこの状態に陥ると航空機の位置や姿勢を正しく認識できなくなり、大変危険である。
実際、航空機の操縦訓練では「自分の頭の中の認識よりも計器を信用しろ」と教えられる。
それでも、熟練パイロットでさえ空間識失調に陥ったまま、間違った認識で操縦を続けてしまう事はある。
そのため、F-2のようにボタン一つで正常な姿勢に戻す機能を備えた航空機もある。


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