【金鵄勲章】(きんしくんしょう)

旧日本軍において、戦時に特に優れた功績をあげた軍人・軍属に対し、日本政府が授与した勲章。
1891年(明治23年)に制定された。

「功一級」〜「功七級」まで7つのランクがあり、対象者の階級・功績によって授与される級が決まっていた。
その区分けは概ね次の通りである。

  • 将官(及びこれに相当する職階の軍属。以下同じ)
    初叙(勲章の授与対象となったとき、最初に授与されるランク)は功三級。
    特に大きな勲功を立てた場合は功二級を授与。
  • 佐官
    初叙は功四級。
    その後、同種以上の功績を重ねた場合は功三級→功二級まで授与された。
  • 尉官
    初叙は功五級。
    その後、同種以上の功績を重ねた場合は功四級→功三級まで授与された。
  • 准士官(陸軍の「特務曹長」後に「准尉」、海軍の「兵曹長」)
    初叙は功六級。
    その後、同種以上の功績を重ねた場合は功五級→功四級まで授与された。
  • 下士官
    初叙は功六級。
    その後、同種以上の功績を重ねた場合は功五級を授与された。

  • 初叙は功七級。
    その後、同種以上の功績を重ねた場合は功六級を授与された。

※なお、「功一級」は天皇直属とされた部隊の司令官などに対し、特別に詮議の上授与されることとなっていた。

また、この勲章の受章者にはその級に応じた終身年金が支給されていたが、後に年金は廃止され、記名国債(20年償還・年利3.65%)の交付による「一時金」の給付に切り替えられた。


第二次世界大戦終戦に伴う軍の解体で制度は有名無実化し、1947年に他の種類の勲章と共に全て廃止された。
この時、金鵄勲章による年金を受けていた受章者に対しては、1967年に一時金が支給されたが、他の勲章が戦後復活したのに対して、金鵄勲章だけは公的な場で佩用することが禁止されたままだったので、旧受章者からの「名誉回復」を求めた運動が起きることになった。


なお、現在の自衛隊にも「防衛記念章」という表彰制度があるが、これは政府ではなく防衛省の内部に向けた表彰であり、どちらかといえば「従軍記章」に近い。

関連リンク:http://www.geocities.jp/nakanolib/giten/kinshi.htm


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