【強襲揚陸艦】(きょうしゅうようりくかん)

Amphibious assault ships.

陸上兵力を輸送し、主にヘリコプターを利用して上陸させる能力を持った艦艇
アメリカ合衆国独自の用語だが、同様の機能を持った揚陸艦がいくつかの国で運用されている。

元は1960年代、アメリカが第二次世界大戦期に大量建造したエセックス正規空母が旧式化して第一線から退いた事が始まりである。
巨大で軍事機密も多い船体は用途廃棄も売却もされず、「二線級」の任務である揚陸艦として転用される事となった。
この運用法が図に当たると、やがて兵員収容能力の高い新規建造の強襲揚陸艦も配備され始めた。
新規建造の艦も設計コンセプトの多くを正規空母から継承しており、船体だけを見て空母と区別するのは容易ではない。

近年では、輸送ヘリのみならず近接航空支援用の垂直離着陸攻撃機を搭載するものもある。
また、ヘリコプターだけでなくウェルドックと上陸用船艇を搭載するものもある。

ウェルドックを持つ艦を「強襲揚陸艦」、ヘリボーンでのみ揚陸する艦をヘリコプター揚陸艦として区別する場合もある。

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ワスプ級イオージマ(LHD-7 Iwo Jima)
Photo:U.S.Navy

各国の主な強襲揚陸艦

  • アメリカ
  • イギリス
  • イタリア
    • サン・ジョルジョ級(NATOではドック型揚陸艦に分類)
    • サン・ジュスト(上記の準同型艦、分類も同上)
  • オーストラリア
    • キャンベラ級(「フアン・カルロス1世」級の準同型艦)
  • 韓国
  • スペイン
    • フアン・カルロス1世級(強襲揚陸艦兼軽空母
  • 日本(大日本帝国陸軍)※いずれも戦没
    • 神州丸?(上陸用舟艇母船。世界で初めてウェルドックを採用した現在の強襲揚陸艦の先駆的存在)
    • あきつ丸?揚陸艦護衛空母
  • フランス
    • ミストラル級(フランス海軍では「指揮・戦力投入艦(BPC*3)」と呼称)
  • ロシア
    • ウラジオストク級(ミストラル級の準同型艦。ロシアには引き渡されず*4、ブラジルに売却)
  • ブラジル
    • アンワル・アル・サダト級(引き渡しが中止されたウラジオストク級を購入したもの)


*1 狭義には「強襲揚陸艦」とはこの艦のみを指す。
*2 1〜2番艦は予算を抑える為にウェルドックを持たず、航空運用機能を増強しているので実質的にはLPHである。
*3 Bâtiment de Projection et de Commandement.
*4 ウクライナ危機による経済制裁を理由にフランスがロシアへの納入を凍結。

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