【強襲揚陸艦】(きょうしゅうようりくかん)

Amphibious assault ships
陸上兵力を輸送し、主にヘリコプターを利用して上陸させる能力を持った艦艇

元は1960年代、アメリカでエセックス正規空母護衛空母*1を改装して造られたのが始まりだが、これらの艦では兵員の収容能力が不足したため、次第に初めから強襲揚陸艦として建造されるようになった。
ドック型揚陸艦と同様に直接陸地に乗り上げる必要が無いので、旧来の戦車揚陸艦よりも遥かに高速力が出しやすい。
最近では、兵員・資材揚陸用の輸送ヘリに加えて、支援用に垂直離着陸攻撃機を搭載したり、上陸用舟艇用のウェルドックを装備したりするものもある。*2
そのため艦は必然的に大型化し、アメリカ海軍ワスプ級に至っては、満載排水量40000tと戦艦並みの巨艦となった。

参考として第二次世界大戦時の代表的艦船の満載排水量を列挙すれば、日本の戦艦長門」が43000t、航空母艦赤城」で41300t、アメリカの戦艦「アイオワ」級が60000tである。

現存する中で「強襲揚陸艦」と呼ばれているのは、タラワ級・ワスプ級(米)、フィアレス?級(英)のみであるが、サン・ジョルジョ?級(伊)やミストラル?級(仏)など同能力を持った艦は他にも存在する。

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ワスプ級イオージマ(LHD-7 Iwo Jima)
Photo:U.S.Navy

各国の主な強襲揚陸艦

  • アメリカ
  • イギリス
    • フィアレス級
    • オーシャン(分類上はヘリコプター揚陸艦)
  • イタリア
    • サン・ジョルジョ級(NATOではドック型揚陸艦に分類)
    • サン・ジュスト級(上記の準同型艦、分類も同上)
  • オーストラリア
    • キャンベラ級(「フアン・カルロス1世級」の準同型艦)
  • 韓国
  • スペイン
    • フアン・カルロス1世級(強襲揚陸艦兼軽空母
  • 日本(大日本帝国陸軍)※いずれも戦没
    • 神州丸?(上陸用舟艇母船。現在の強襲揚陸艦の先駆的存在)
    • あきつ丸?揚陸艦護衛空母
  • フランス
    • ミストラル級(フランス海軍では「BPC*5(指揮・戦力投入艦)」と呼称)
  • ロシア
    • ウラジオストク級(ミストラル級の準同型艦)


*1 これらの艦は、第二次世界大戦中に対日・対独戦用として大量建造され、戦後、ミッドウェイ級やフォレスタル級といった大型空母の就役に伴って余剰となっていたもの。
*2 ウェルドックを持たず、ヘリコプターのみで揚陸するものをヘリコプター揚陸艦として区別する場合もある。
*3 狭義には「強襲揚陸艦」とはこの艦のみを指す。
*4 1〜2番艦は予算を抑える為にウェルドックを持たず、航空運用機能を増強しているので実質的にはLPHである。
*5 Bâtiment de Projection et de Commandement.

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