【患部】(かんぶ)

自衛隊において、隊員の間で使われている隠語のひとつ。
「幹部」(外国の軍隊では士官・将校にあたる「幹部自衛官」)と「患部」が、話し言葉では同音に聞こえることから生まれた言葉であり、幹部自衛官の中で、若手で経験の少ない者や、高齢で経験豊富だが(幹部としての)職務遂行能力に劣る者に対し、主に曹士*1が揶揄・侮蔑の意味を込めて使う。
同義語に「バ幹部」がある。

用例としてはこのように使われる。
「あのSヤロウ、自衛隊の患部だな」

この種、将校(士官)と下士官・兵卒との感情的反目を表したスラングは多くの国の軍隊で見られる。
近代的軍隊の草創期において、将校は貴族階級から任官されるものであったのに対し、下士官・兵卒は庶民階級の出身者からなり、下士官から将校に昇進することは不可能であった。
――そうした歴史的経緯から、現在でも将校は士官学校・兵学校などの高等教育機関*2で専門教育を受け、現場の職務をほとんど(あるいはまったく)経験せずに幹部として処遇されるのが常である*3


*1 外国の軍隊では下士官・兵卒にあたる。
*2 自衛隊では防衛大学校及び幹部候補生学校がこれにあたる。
*3 ただし、下士官・兵卒として豊かな現場経験を積んだ者を幹部に登用する道を用意している国もある。

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