【回転式拳銃】(かいてんしきけんじゅう)

Revolver.
銃身に5〜8つの筒を束ねた蓮根のような部品を取り付け、その筒に1発ずつ弾薬を装填する銃。
この蓮根状の部品全体を「シリンダー」、個々の筒を「薬室(チェンバー)」と呼ぶ。

「回転式拳銃」という用語はさほど一般的ではなく、報道などでは「回転弾倉式拳銃」もしくは単に「拳銃」などとまちまちに表現される。
軍事雑誌やフィクションなどで読者・視聴者の知識を前提とする場合は、原語のカタカナ読みでリボルバー(まれにレボルバー)と呼ばれる事が多い*1

半自動式拳銃と比較した場合、以下の利点と欠点がある。

  • 利点
    • 構造が単純なため頑丈で信頼性が高い。
      強度の向上が容易なので、とことん強力な弾薬に対応させることもできる。
    • 不発が発生しても引き金をもう一度引くだけで次弾を発射できる*2
    • 銃身が固定されているので、微妙に精度が高い。
  • 欠点
    • 装弾数が少ない(通常5〜8発)。
    • 再装填が必要になる度にシリンダーを引き出して*3手動で弾薬を込める必要があり、即応性が低い*4
    • シリンダーと銃身の隙間からエネルギーが漏れる。サプレッサーによる減音は期待できない。
      またここに指があると怪我をするので、グリップの握り方に多少注意が必要。
    • 反動が鋭く、短い。
      欠点という程でないが、慣れが必要。

元々は火縄銃のように銃口から火薬と弾丸を装填していた時代に考案されたもので、最初期には銃身ごと束ねたもの、撃鉄とシリンダーを別々に操作するものなどを経た上で、1836年にサミュエル・コルトが発表した「コルト・パターソンM1836」が回転式拳銃の基礎的な設計を確立させ、1857年の「S&WモデルNo.1」で蓮根状のシリンダーに金属薬莢を装填する構造を完成させた*5
その後ダブルアクションなどの改良を経て、第一次世界大戦ごろまで軍用拳銃として採用されていたが、半自動式拳銃の登場とともにまず軍隊から姿を消し、冷戦時代以降は、テロリズム・凶悪犯罪の増加に伴って警察機関からも徐々に姿を消していった。
しかし、堅牢な信頼性を持ち複雑な整備を必要としない点で常に一定の需要があり、銃規制の強い国家・社会での警察用*6、民間人の護身用、一部の特殊部隊で緊急時に使用する予備の武器として現代でも使用されている。

関連:シングルアクション ダブルアクション ロシアンルーレット

主な回転式拳銃

  • S&W? M10「ミリタリー&ポリス」
  • S&W M19「コンバットマグナム」
  • S&W M28「ハイウェイパトロールマン」
  • S&W M29
  • S&W M36「チーフ・スペシャル」
  • S&W M500
  • S&W M686
  • エンフィールド・リボルバー
  • コルト M1848「ドラグーン」
  • コルトM1851
  • コルトM1877「ライトニング」
  • コルトM1892
  • U.S.M1917
  • コルト シングル・アクション・アーミー(ピースメーカー)
  • コルト ニューサービス
  • コルト アナコンダ
  • コルト キングコブラ
  • コルト ディテクティブスペシャル
  • コルト パイソン
  • コルト ローマン
  • コルト トルーパー
  • スイス・アーミーM1882
  • スタームルガー セキュリティシックス
  • スタームルガー ブラックホーク
  • スタームルガー レッドホーク
  • トーラス レイジングブル
  • ナガンM1895
  • ニューナンブM60
  • Pfeifer Zeliska
  • マテバ 6 ウニカ
  • マニューリン MR 73
  • モーゼルC78
  • モーゼルM1878 Zig-Zag
  • レ・マット・リボルバー
  • レミントン・ニューモデルアーミー
  • 桑原製軽便拳銃
  • 二十六年式拳銃

*1 "Revolver"の語自体が拳銃の意を含むので、「リボルバーピストル」「リボルバーハンドガン」等の表記は誤り。また回転式拳銃はピストルではない。
*2 残弾があれば、であるが。
*3 シリンダーだけが横に飛び出す弾倉振出式(スウィングアウト)と、銃身後部に蝶番を付けてグリップごと折り曲げる中折れ式(トップブレイク)がある。
*4 近年ではクリップやスピードローダーでまとめて装填する方式が発明され、所要時間は短くなった。
*5 現代でも回転式拳銃のメーカーと言えばコルトとS&Wが筆頭に挙げられる。
*6 日本の一般的な外勤警官は国産の回転式拳銃「ニューナンブM60」を貸与されている。

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