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【音の壁】 †
遷音速から音速にかけて発生する、衝撃波による振動と巨大な抗力のこと。
当初、プロペラ機が高速化する過程で、プロペラの先端が音速に近くなると性能が出なくなることにより認知された。
音速付近では、衝撃波が部分的に発生することにより抗力が急激に増加し、あたかも壁があるように思えるだけでなく、衝撃波により翼面の空気の流れが剥離するため、機体の制御が難しくなる。
よって、遷音速を巡航するには、衝撃波の発生を遅らせる必要がある。
そのため近年のジェット機では、十分な後退角を付けて翼気流の速度を遅くするか、遷音速用の翼型(ピーキー翼・リアローディング翼・超臨界翼等)を採用して、遷音速での巡航を可能にしている。
逆のアプローチとして、衝撃波の発生を早い段階で行わせてしまい、音の壁を推力によって強引に突破する方法もある。
超音速に達すれば抗力係数は下がり(抗力そのものは増加し続けるが)、機体の制御も遷音速時よりはし易くなる。(F-104やミサイル等)
以上のように、遷音速飛行と超音速飛行のどちらを重視するかによってアプローチが違う。
戦闘機では遷音速飛行に適したアプローチをする。
過去、音の壁には「悪魔が潜む」とまで言われ、未知の領域に挑んだ勇気ある者の多くが、壁を乗り越えることができず、空中分解する機体と運命を共にした。
そのため、人類にはこの壁を乗り越えることが不可能であるとさえ言われた。
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