【ヴァージニア】(ヴぁーじにあ)

英語の女性名、あるいはアメリカ合衆国南部、大西洋岸に位置する州「ヴァージニア州」(原義)。
アメリカの艦艇の名前として幾度か用いられている。

装甲艦(アメリカ連合国海軍)

19世紀のアメリカ南北戦争の際、南軍(アメリカ連合国)が使用した装甲艦。
元はノーフォークで自沈した北軍のフリゲート「メリマック」を、ノーフォークを制圧した南軍が鹵獲して改装したものである。

北軍の装甲艦「モニター」と史上初の「装甲艦同士の交戦」をするなどの活躍を見せたが、ノーフォークの陥落に伴って自沈処分された。

スペックデータ
起工1862.(メリマックからの改装)
進水1862.3.8
就役1862.
その後1862.5.11 自沈
排水量約3,200t(資料によって異なる)
全長84m
全幅11.8m
喫水6.7m
機関蒸気機関×2基
ボイラー×4基
1軸推進
最大速力9ノット
乗員士官、兵員320名
兵装7インチ(178mm)ブルック砲(前装式ライフル砲)×2門
6インチ(152mm)ブルック砲(前装式ライフル砲)×2門
9インチ(229mm)ダールグレン砲(滑腔砲)×6門
12ポンド曲射榴弾砲×2門


前ド級戦艦(BB-13)

USS Virginia(BB-13).

20世紀初頭に就役した前ド級戦艦。同型艦に「ネブラスカ」「ジョージア」「ニュー・ジャージー」「ロード・アイランド」の4隻があった。
アメリカ史上初の「外洋航行可能な戦艦」として計画・建造された。

1907〜1909年まで「グレート・ホワイト・フリート」の一艦として世界一周航海をするなど活躍したが、第一次世界大戦後には旧式化して予備役に編入され、ワシントン海軍軍縮条約で廃棄が決定。
1923年、陸軍航空隊の爆撃演習の実艦標的として撃沈された。

スペックデータ
主造船所ニューポート・ニューズ(BB-13)
モラン・ブラザース社(BB-14)
バス鉄工所(BB-15)
フォアリバー造船所(BB-16・BB-17)
基準排水量14,980t
全長134.49m
全幅23.24m
喫水7m
機関垂直型3倍膨張往復動機関×2基
バブコック&ウィルコックス式ボイラー×12基
1軸推進
機関出力19,000shp(14,000kW)
最大速力19ノット
乗員士官、兵員812名
兵装Mark.3/4 40口径12インチ(30.5cm)砲×4門
Mark.6 45口径8インチ(20.3cm)砲×8門
Mark.6 50口径6インチ(15.2cm)砲×12門
50口径3インチ(76mm)砲×12門
ホッチキス QF 3ポンド(47mm)砲×12門
21インチ(53.3cm)魚雷発射管×4門
装甲ベルト:6–11in(152–279mm)
バーベット:10in(254mm)
砲塔:12in(305mm)
艦橋:9in (229mm)


同型艦
艦番号艦名起工進水就役退役その後
BB-13ヴァージニア
(USS Virginia)
1902.5.211904.4.61906.5.71920.8.131923.9.5
爆撃目標
として
海没処分
BB-14ネブラスカ
(USS Nebraska)
1902.7.41904.10.71907.7.11920.7.2スクラップ
として売却
BB-15ジョージア
(USS Georgia)
1901.8.311904.10.111906.9.241920.7.15
BB-16ニュージャージー
(USS New Jersey)
1902.4.21904.11.101906.5.111920.8.61923.9.5
爆撃目標
として
海没処分
BB-17ロードアイランド
(USS Rhode Island)
1902.5.11904.5.171906.2.191920.6.30スクラップ
として売却


原子力ミサイル巡洋艦(DLGN/CGN-38)

USS Virginia(DLGN→CGN-38).
1970年代に就役した原子力ミサイル巡洋艦
同型艦に「テキサス」「ミシシッピ」「アーカンソー」の3隻があった。
建造当初はフリゲートに分類されていたが、1975年に巡洋艦に変更されて就役した。

冷戦末期のアメリカ水上艦隊の主軸として活躍し、1991年の湾岸戦争にも参戦したが、1994年にビル・クリントン大統領(当時)の打ち出した予算削減により除籍。
その後、1999年に「原子力艦再利用プログラム」により解体された。

スペックデータ
主造船所ニューポート・ニューズ造船所
排水量
基準/満載
9,620t/11,670t
全長178.3m
全幅19.2m
喫水9.2m
機関GE D2G型加圧水型原子炉×2基
蒸気タービン×2基
推進器スクリュープロペラ×2軸
出力60,000shp(45,000kW)
最大速力30ノット
乗員士官38〜45名+下士官兵520〜579名
搭載機SH-2 LAMPSヘリコプター×1機
※後にMk.143 ABLの搭載に伴い撤去
兵装Mk.45 54口径5インチ(127mm)単装砲×2基
Mk.15 20mmCIWS×2基
Mk.26"GMLS" 連装ミサイル発射機×2基
SM-2MR SAMアスロックSUMを発射可能、ミサイル68発)
Mk.141 4連装ミサイル発射筒×2基(ハープーンSSM用、ミサイル8発)
Mk.143 ABL 4連装ミサイル発射筒×2基(トマホークSLCM用、ミサイル8発)
Mk.32 324mm短魚雷連装発射管×2基(Mk.46対潜魚雷×4発)
Mk.38 25mmチェーンガン×2挺
M2 12.7mm重機関銃×6挺
C4IシステムAN/WSC-3衛星通信装置
海軍戦術情報システム(NTDS)
(戦闘指揮システム(CDS)+リンク11/14
Mk.13 武器管制システム(WDS)→Mk.14 WDS(NTU改修後)
FCSMk.74ミサイルFCS×2基(SAM用)
Mk.86 砲FCS×1基(5インチ砲用)
Mk.116 水中FCS×1基
レーダーAN/SPS-48C→E 3次元式レーダー×1基
AN/SPS-40→AN/SPS-49 対空捜索レーダー×1基
AN/SPS-55 対水上捜索レーダー×1基
AN/SPQ-9A 目標捕捉・砲射撃指揮用レーダー×1基(Mk.86 砲FCSのサブシステム)
AN/SPG-51D SAM誘導用レーダー×2基(Mk.74ミサイルFCSのサブシステム)
AN/SPG-60 砲射撃指揮レーダー×1基(Mk.86 砲FCSのサブシステム)
ソナーAN/SQS-53A 船首装備式ソナー×1基
電子戦
対抗手段
AN/SLQ-32(V)3 統合電子戦装置
AN/SLQ-34電波妨害装置
Mk.36 SRBOCチャフフレア展開装置
(Mk.137 6連装デコイ発射機×4基)
AN/SLQ-25「ニクシー」対魚雷デコイ装置


同型艦
艦番号艦名起工進水就役退役
DLGN-38

CGN-38
ヴァージニア
(USS Virginia)
1972.8.191974.12.141976.9.111994.11.10
CGN-39テキサス
(USS Texas)
1973.8.181975.6.301977.9.101993.7.16
CGN-40ミシシッピ
(USS Mississippi)
1975.2.221976.7.311978.8.51997.7.28
CGN-41アーカンソー
(USS Arkansas)
1977.1.171978.10.211980.10.181998.7.7

原子力攻撃潜水艦(SSN-774)

USS Virginia(SSN-774).

2000年代に入ってから、アメリカ海軍が調達中の攻撃型原子力潜水艦

本艦は、米ソ冷戦後期の1970年代から調達されていたロサンゼルス級の後継として開発されたものである。
この目的として開発された艦には、1980年代末期に建造されたシーウルフ級があったが、同艦型は建造コストがあまりにも高価であったため、よりコストを落として数をそろえることを目指した「センチュリオン」計画により開発・建造された。

冷戦終結に伴い、対潜戦闘よりも地域紛争などに対応すべく、設計段階から陸上攻撃能力やSEALs輸送能力などが採り入れられている。
また、沿岸など浅深度での対機雷・航行能力向上のために特殊なソナーを装備し、海底を映像化することで機雷や障害物を精密に探知できる。
水中静粛性もシーウルフ級以上であるが、その他の性能はシーウルフ級より一段落とされている。

なお、本級は船体の多くの部分に商用オフザシェルフ思想を採用し、コストを削減しているのが特徴的である。
軍用品に比べ信頼性は落ちるものの、パーツの交換が容易なモジュール構造であるため、互換性は高く、アップグレードを容易にしている。
また、原子炉燃料棒にも艦と同じ寿命(約33年とされる)のものを採用し、従来は10年に一度程度必要であった燃料棒交換*1を事実上不要としている。

搭載艇として小型潜水艇「ASDS*2」が計画されていたが、技術的問題や信頼性、コストの問題で計画中止になっている。

スペックデータ
主造船所エレクトリック・ボート*3
ニューポート・ニューズ造船所
全長114.8m
全幅10.4m
喫水9.3m
水中排水量7,800t
推進方式原子力ギアードタービン(出力40,000shp)
機関GE S9G型加圧水型原子炉×1基
蒸気タービン×2基
スクリュープロペラ×1軸
最大速力
(水中)
25kt(公表値)/34kt(推定値)
潜行深度約488m
乗員134名
兵装533mm水圧式魚雷発射管×4門(Mk.48誘導魚雷・UGM-84機雷を搭載)
BGM-109SLCMVLS×12基
搭載人員SEALs×40人
ソナー球型ソナー(艦首ドーム内、中周波アクティブ/パッシブ)
チン・ソナー(艦首下部、高周波アクティブ)
BQG-5A中周波パッシブソナー(船体両側面各3か所)
コンフォーマル音響速度ソナー(4番艦から)
TB-16ケーブル曳航式ソナー
TB29Aケーブル曳航式ソナー


同型艦
Block.1
艦番号艦名起工進水就役母港
SSN-774ヴァージニア
(USS Virginia)
2000.9.22003.8.162004.10.23ニューロンドン
海軍潜水艦基地
(コネチカット州)
SSN-775テキサス
(USS Texas)
2003.7.122006.4.92006.9.9パールハーバー
海軍基地
(ハワイ州)
SSN-776ハワイ
(USS Hawaii)
2004.8.272006.6.172007.5.5
SSN-777ノースカロライナ?
(USS North Carolina)
2004.5.222007.4.212008.5.3
Block.2
SSN-778ニューハンプシャー
(USS New Hampshire)
2007.4.302008.2.212008.10.25ニューロンドン
海軍潜水艦基地
SSN-779ニューメキシコ?
(USS New Mexico)
2008.4.122009.1.182010.3.27
SSN-780ミズーリ
(USS Missouri)
2008.9.272009.12.52010.7.31
SSN-781カルフォルニア
(USS California)
2009.5.12010.11.142011.10.29
SSN-782ミシシッピ
(USS Mississippi)
2010.6.92011.10.132012.6.2パールハーバー
海軍基地
SSN-783ミネソタ
(USS Minnesota)
2011.5.202012.11.32013.9.7ニューロンドン
海軍潜水艦基地
Block.3
SSN-784ノースダコタ
(USS North Dakota)
2012.5.112013.9.152014.10.25ニューロンドン
海軍潜水艦基地
SSN-785ジョン・ウォーナー
(USS John Warner)
2013.3.162014.9.102015.8.1ノーフォーク
海軍基地
(バージニア州)
SSN-786イリノイ?
(USS Illinois)
2014.6.22015.10.102016.10.29ニューロンドン
海軍潜水艦基地
SSN-787ワシントン
(USS Washington)
2014.11.222016.3.262017.10.7ノーフォーク
海軍基地
SSN-788コロラド?
(USS Colorado)
2015.3.72016.12.292018.3.17ニューロンドン
海軍潜水艦基地
SSN-789インディアナ
(USS Indiana)
2015.5.162017.6.92018.9.29
SSN-790サウスダコタ?
(USS South Dakota)
2016.4.42017.10.142019.2.2
SSN-791デラウェア
(USS Delaware)
2016.4.302018.12.172020.4.4
Block.4
SSN-792ヴァーモント
(USS Vermont)
2017.2.2018.10.202020.4.18ニューロンドン
海軍潜水艦基地
SSN-793オレゴン
(USS Oregon)
2017.7.82019.10.5
SSN-794モンタナ
(USS Montana)
2018.5.162021.2.10
SSN-795ハイマン・G・リッコーヴァー
(USS Hyman G.Rickover)
2018.5.11
SSN-796ニュージャージー
(USS New Jersey)
2019.3.25
SSN-797アイオワ
(USS Iowa)
2019.8.20
SSN-798マサチューセッツ
(USS Massachusetts)
2020.12.11
SSN-799アイダホ
(USS Idaho)
2020.8.24
SSN-800アーカンソー
(USS Arkansas)
SSN-801ユタ
(USS Utah)
Block.4(計画中)
SSN-802オクラホマ
(USS Oklahoma)
SSN-803アリゾナ
(USS Arizona)
SSN-804バーブ
(USS Barb)
SSN-805タング
(USS Tang)
SSN-806ワフー
(USS Wahoo)
SSN-807シルバーサイズ
(USS Silversides)
SSN-808
SSN-809
SSN-810
SSN-811



*1 この際には原子炉を取り出すために船体の切断・再接続を伴う大規模な工事が必要なのに加え、長期間(年単位で)運用不能になることに備えた代艦を確保しなければならない。
*2 Advanced SEAL Delivery System:改良型SEAL輸送システム。
*3 現ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS