【レオパルト1】(れおぱるとあいん)

ドイツ陸軍の第ニ世代主力戦車。レオパルドとも。

戦車王国ドイツの復活を告げた戦車であり、またその性能の良さから西ドイツ以外のNATO各国でも使用され、レオパルド2?へと続くヨーロッパ標準戦車としての地位を築いた。

それまで西ドイツ軍はアメリカから供与されたM41?M47?M48などの戦車を装備していたが、これらの戦車の性能に不満を抱いた国防軍は、これに替わる国産30t級戦車の開発を決定。当時隣国フランスも次期主力戦車の開発を検討しており、開発予算削減のため、NATO標準戦車という名目で共同開発が始められたが、国ごとのニーズの違いなどから早々に破綻。独自に国産戦車を開発することになった。この時フランスが開発したのがAMX-30?である。
ポルシェ社主体の開発であったが、同社が戦車生産が可能な大規模な工場施設を保有していなかったため、クラウスマッフェイ社によって生産された。

レオパルト1の装甲は均質圧延装甲の全溶接構造で構成されており、最大80mmで避弾径始を考慮した丸みを帯びた形になっている。それまでのドイツ戦車らしからぬ常識的な(基本的にドイツ戦車は重装甲)装甲厚だが、これは火砲の発達により装甲防御よりも機動力を重視した結果である。
主砲は西側第2世代MBTの標準砲であるイギリス製の51口径105mm施条砲L7A3を搭載。第二世代型戦車の主砲として世界的に使用されたベストセラーで、初速はAPDSで1478m/s、発射速度毎分10発(最大)、1000mでの初弾命中率は85%と優秀な砲であった。未だに使い続けているところも少なくなく、当時としても弾薬の共通化が図りやすかった。副武装としてMG3?を2挺装備し、さらに砲塔左右に発煙弾発射機を各4基備えている。
エンジンはMTU社のMB838CaM-500 V型10気筒他燃料液冷スーパーチャージド・ディーゼルエンジンを装備。総排気量は37400ccで出力830hpをたたき出し、路上最高速度65km/hが可能である。

本戦車は多数の改良型が存在し、またその素体の良さからファミリーも多い。それらを以下に示す。

改良型

  1. レオパルト1A1
    主砲にアメリカ製の砲塔安定システムを追加して命中率を高め、それまでのアクティブ赤外線暗視装置をスターライトスコープに換装し、スカートを更新した強化タイプ。全重量は若干増加したが機動力に大きな変化は見られなかった。
  2. レオパルト1A2
    レオパルトA1の防御力向上タイプで前面から側面にかけて装甲が約20〜10�ほど追加されている。また、そのほとんどが第6機甲擲弾兵師団に配備されている。
  3. レオパルト1A3 レオパルト1A2に新設計の砲塔を搭載したタイプ。この砲塔は従来の常識を打ち破り、現在の複合装甲に繋がる中空装甲(成形炸薬弾防御に有効)を採用し、平面装甲を組み合わせた鋭角なデザインを採っている。また、ペリスコープ2基が固定式から旋回式へと変った。
  4. レオパルト1A4
    新型FCSを搭載した能力向上型で、弾道コンピューターが新たに追加され、命中率向上が図られている。しかし、新型FCSは多くのスペースを必要とした為携行主砲弾の数が5発減って55発となった。
  5. レオパルト1A5
    夜間戦闘能力、発射速度/命中精度の向上、行進間射撃能力などが強化されたレオパルト1の最終型。レーザー測距装置と熱線暗視装置を組み込んだ新型FCSを搭載し、新たにAPFSDSを搭載して装甲貫通能力を高めている。

レオパルト1ファミリー

  1. ゲーパルト対空自走砲
    レオパルト1の車体を流用し、捜索レーダーと追尾レーダ連動のスイスのエリコン社製35mm機関砲を連装で装備した対空自走砲。同タイプの対空自走砲の先駆け的存在。

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