【ユナイテッド・ステーツ】(ゆないてっど・すてーつ)

United States.
「アメリカ合衆国」を意味する言葉。
いくつかの軍艦や民間商船の名としても使われてきた。

  1. USS United States
    1797年に就役したアメリカ海軍の帆走式フリゲート

  2. USS United States(CC-6)
    1910年代後半の海軍増強計画「ダニエルズ・プラン(三年計画)」により計画された、レキシントン級巡洋戦艦の6番艦。
    ワシントン海軍軍縮条約の発効により1923年に建造中止となり、廃棄された。

  3. USS United States(CVA-58)
    第二次世界大戦後に計画された超大型空母
    当初からジェット艦載機及び核兵器の運用を前提として計画・設計され、先のミッドウェイ級を上回る巨艦となるはずだったが、陸軍空軍からの猛反発*1により建造中止となってしまった*2

    なお、本艦の設計コンセプト自体は後年、フォレスタル級として現実化している*3

    スペックデータ(計画値)
    艦種航空母艦正規空母
    起工1949.4.18
    建造中止1949.4.23
    排水量
    基準/満載
    65,000t(諸説あり)/83,350t
    全長331m
    全幅
    (最大/水線)
    60.1m/38.1m
    吃水11.3m
    機関蒸気タービン×4基 4軸推進
    最大速力33ノット
    乗員3,000名/2,480名(航空要員)
    兵装127mm単装両用速射砲×8基
    76mm連装速射砲×16基
    エリコンFF 20mm機銃×20基
    搭載機90〜100機
    設備エレベーター×4基
    カタパルト×4基

  4. USS United States(CVN-75)
    ニミッツ級原子力空母の8番艦に予定されていた艦名。
    CVN-75は「ハリー・S・トルーマン」と命名されて竣工した。

  5. USS United States(CVN-77)
    ニミッツ級原子力空母の10番艦に予定されていた艦名。
    CVN-77は「ジョージ・H・W・ブッシュ」と命名されて竣工した。

    なお、アメリカ海軍の空母は「ジョン・F・ケネディ(CVA-67)」以後、アメリカの歴代大統領及び海軍の関係者・功労者に由来する命名がなされている*4ため、今後、空母の艦名として再登場する可能性は当面望めないという。

  6. SS United States
    1950年代に「ユナイテッド・ステーツ・ライン」社が大西洋航路に就役させた、大型の高速客船。
    姉妹船として「アメリカ」が計画されたが、1961年にキャンセルされている。

    本船は、有事には海軍が徴用して兵員輸送船*5あるいは病院船として使うことになっていたため、連邦政府とユナイテッド・ステーツ・ライン社の共同出資により建造された。
    1952年の処女航海で大西洋横断の速度記録を更新し「ブルーリボン賞」を受賞するなどの活躍を見せたが、大型旅客機の就役が進んだ*6ことにより需要が伸び悩み、また、もうひとつの用途であった軍用輸送船として使われる機会もなく、1969年に退役*7
    その後、複数のオーナーを転々とした挙句、現在はマイアミのクルーズ船会社が買収し、フィラデルフィアのドックで係留保存されている。
    この間、クルーズ客船として現役復帰させる試みもなされていたが、船内に残された大量のアスベストの処理問題や機関修復*8の困難さ、現オーナーの財務状況*9などから、いまだ実現には至っていない。

    1999年には国定歴史建造物に指定されている。

    スペックデータ
    船籍アメリカ
    母港ニューヨーク
    主造船所ノースロップ・グラマン・ニューポート・ニューズ
    着工1950.2.8
    進水1951.6.23
    就役1952.7.3
    除籍1969.
    総トン数53,329t
    全長301.8m
    全幅30.8m
    型幅31m
    デッキ数12
    機関フォスター・ホイーラー ウェスティングハウス蒸気タービン×8基
    2段減速4軸推進
    機関出力220,000hp/241,785hp(公試記録)
    最大速度35.6ノット(ブルーリボン賞受賞時)/38.32ノット(公試記録)*10
    乗務員数900名
    乗客数一等船客:871名
    二等船客:508名
    三等船客:549名
    計1,920名
    備考フィラデルフィアに係留中


*1 これを巡って「提督たちの反乱」と呼ばれる内紛が国防総省・連邦議会で起きている。
*2 このため、「アメリカ空軍が『撃沈』した唯一の空母」とも呼ばれることになった。
*3 更に、以後のキティホーク級エンタープライズニミッツ級にも受け継がれている。
*4 現在開発中の「ジェラルド・R・フォード」級3番艦(CVN-80。2025年頃就役予定)には「エンタープライズ」と名づけられる予定だというが、これは、1961年に就役した「世界初の原子力空母」であり、2012年に退役した同名艦(CVN-65)の功績を顕彰するための例外的なものである。
*5 兵員15,000人を輸送可能とされていた。
*6 ダグラスDC-4ロッキードL-049「コンステレーション」、ボーイングB707など。
*7 ユナイテッド・ステーツ・ライン社が貨物輸送専業会社に業態転換したため。
*8 高速兵員輸送船としての使用を想定し、商船としてはオーバースペックな大出力機関が搭載されていた。
*9 2009年頃には本船の売却が検討されていた。
*10 公試運転終了後の会見で「43ノット」と発表され、1977年に実際の速力が明らかになるまで信じられていた。
  なお、一般の船舶において、単胴の船体と通常のプロペラとの組み合わせで発揮できる限界速度は40ノット前後だという。


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