【マスタードガス】(ますたーどがす)

硫化ジクロジエチルを主成分とする毒ガス。
1886年、ドイツ人科学者マイヤーによって農薬を作る過程で偶然合成された。
皮膚をただれさせ、粘膜を破壊するびらん剤の一種。

純粋なマスタードガスは無色、無臭で粘液質だが、不純物によって黄色くマスタードのような匂いがしたため、マスタードガスと呼ばれるようになった。
気体では1500mg-分/m^3で致死率50%、液体では1滴でも触れると水疱が生じる強い毒性を持ち、解毒剤はない。
特に目、肺が敏感に作用し、少量でも重い障害が残り大量に浴びた場合は数時間で痙攣から昏睡に陥り死に至る。

作り方が比較的簡単で高度な設備や技術が必要ないため毒ガス兵器として広まり、第一次世界大戦時にイペルン戦線においてドイツ軍が初めて実戦で使用した。これにちなみ「イペリット」とも呼ばれる。また最近ではイラン・イラク戦争でイラクがマスタードガスの入った砲弾を使用し、これにより当時のイラク大統領サダム・フセインが非難を浴びた。 その後、これが大量破壊兵器とされアメリカによるイラク攻撃の口実となった。


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