【バイオハザード】(ばいおはざーど)

bio hazard.

有害な生物によって引き起こされる災害。「生物災害」「疫禍」とも。
典型的にはウィルスや細菌などの病原体が繁殖して疫病を引き起こす事を指す。
人類にとって最も恐るべき災害であり、また実際に人類史上最も多くの死者を出した災害である。

例えば、14世紀にはペストの大流行により推定8,500万人前後の死者が発生したとされる。

医療が飛躍的な発展を遂げた現代でも、医療過誤・研究施設の事故やテロ行為による病原体の外部漏洩、または生物兵器の使用でバイオハザードが発生する可能性がある。
航空機により人間の移動が高速化した現代、バイオハザードが世界規模まで拡大して億人単位の死者をもたらす事もないとは言い切れない。

リスクグループとバイオセーフティ

世界保健機構(WHO)では、バイオハザードのリスクとその対策となる安全管理基準をそれぞれ以下の4段階に分類している。

リスクグループ

リスク群1ヒトや動物に疾患を起こす可能性はない。個体や地域社会へリスクは皆無か微少。
大腸菌など。
リスク群2疾患を起こす可能性があるが、通常の環境で重篤な災害に発展する可能性はない。
肝炎、ヒトヘルペス、インフルエンザなど。
リスク群3重篤な疾患を生じるが、治療法が確立されており、通常の環境で爆発的な感染拡大は起こらない。
HIV、狂犬病、炭疽菌、結核など。
リスク群4重篤な疾患を生じ、有効な予防・治療策がなく、容易に伝播・感染する。
エボラ出血熱、天然痘、マールブルグ熱、黄熱病など。

バイオセーフティ*1

レベル1リスク群1を扱う。施設内での飲食禁止。未成年者は立入禁止。
レベル2リスク群2を扱う。バイオハザード警告マークを表示し、滅菌設備を設置。部外者立入禁止。
レベル3リスク群3を扱う。厳重に気密封鎖・隔離*2される。
レベル4*3リスク群4を扱う。出入りする物資全てが滅菌され、作業員は完全気密の防護服*4を着用する。

*1 高レベルのセーフティは以前のレベルでの条件を完全に満たしている事が前提条件となる。
  当然の事だが、「完全の気密の防護服を着ているからレベル4施設内でも飲食できる」などという事はあり得ない。

*2 室内を陰圧に保つことで、万が一外と直接通じても空気が内部へ向けて流入するよう空調を管理する。また、すべての空調設備の排気は高性能フィルターによってろ過を行う。
*3 この規模の実験室、研究室を持つためには高度な技術と維持費を必要とするため一部の限られた国でのみ運用されている。
  ちなみに日本は国立感染症研究所と理化学研究所の2箇所にあるが、いずれも地域住民の反対によって20年近く稼動していない。

*4 俗に「宇宙服」と呼ばれる陽圧式の防護服が一般的。

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