【ニムロッド(哨戒機)】(にむろっど(しょうかいき))

Hawker Siddeley/BAe Nimrod.

かつて、英国空軍が運用していた哨戒機/電子戦機
従来使用していたアブロ「シャクルトン?」の後継として、世界初のジェット旅客機コメット」をベースに開発された。

1950年代、NATO共同哨戒機プロジェクトから離脱した英国が、NATO各国が採用した「アトランティック?」の採用を防ぐため、ペーパープランだった「HS.800*1」のシステムをコメットの機体に搭載する形で「HS.801」として採用された。
エンジンは、原型の「エイヴォンターボジェットからロールス・ロイス?スペイターボファンに換装されている。

本機は1966年に生産が開始され、64機が生産。21世紀に入るまで対潜哨戒やELINTに従事した。
その後、21世紀に入ってエンジンの更新・グラスコックピット化など近代化改装した「MRA.4」が計画されたが、原設計が1940年代と古い機体であり、改装するための金の壁に直面して計画は中止。
結局、本機は2011年に全機が退役した。

その後、英国空軍は哨戒機の独自調達を断念し、アメリカ製のP-8「ポセイドン」?及びRQ-4無人偵察機の採用を決めた*2

スペックデータ

タイプMR.1MRA.4
乗員12名10名
全長38.63m38.60m
全高9.08m9.45m
全幅35m38.71m
空虚重量39,009kg51,710kg
最大離陸重量87,090kg105,376kg
エンジンターボファン×4基
ロールス・ロイス
スペイMk.250
推力5,510kg)
ロールス・ロイス BR710
(推力7,030kg(15,500lbf))
最大巡航速度880km/h918km/h
フェリー航続距離9,270km11,119km
武装
AAM(自衛用)サイドワインダー
ASMハープーン
AGM-マーベリック
対潜兵器スティングレイ?短魚雷
爆雷
機雷
スティングレイ短魚雷
Mk.46?短魚雷
爆雷
機雷

バリエーション

  • MR.1:
    初期生産型。コメットMk.4をベースにしている。

  • R.1:
    SIGINT機型。
    尾部のMADブームは省略されている。

  • MR.2:
    MR.1の電子装備を更新した型。
    フォークランド紛争時に、空中給油装置とサイドワインダーAAMが装備できるように改修された。

  • AEW.3:
    早期警戒管制機(AEW&C)型。
    機首と尾部に大型レーダーを搭載し、前後のレーダーが連動して周囲の警戒を行う仕組みであった。
    11機が試験的に改装されたが、アメリカのE-3「セントリー」AWACS?の導入を決定したため採用に至らず。
    改装された機体は他の機体への部品取りに回された。

  • MRA.4:
    MR.2の改装生産型。
    胴体の設計を一新して、主翼を拡大し、エアバスA340グラスコックピットを導入した。
    エンジンはロールス・ロイス BR700?を搭載。
    改装コストの問題などから計画中止になり、改装中及び改装済みの機体もスクラップにされた。


*1 こちらは3発ジェット旅客機「トライデント?」をベースにしている。
*2 このコンペティションには日本から川崎P-1も参加したが、敗れている。

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