【トンプソン】(とんぷそん)

20世紀初頭、アメリカのJ・T・トンプソン氏が設計・開発した短機関銃
製造はオートオードナンス社が担当していた。

短機関銃黎明期の著名なモデルの一つで、「トミーガン」「シカゴピアノ」「タイプライター」等、様々な愛称を持つことでも知られる。
頑丈で故障知らず、信頼性は非常に高い。
少々重いが、その重量のおかげで.45ACPの反動が抑えられ、安定感ある連射が可能になっている。

1920年代にマフィアが大々的に使用した*1ことから『マフィアのマシンガン』『悪者の殺戮兵器』といったイメージが広まったが、対する法執行機関?側でも同時期に運用しており、FBI(連邦捜査局)では、現在もデモンストレーション射撃に用いている。
アメリカ軍でもミリタリーモデルが採用され、第二次世界大戦期にはレンドリースによって連合国側の各国軍にも供給された。

スペックデータ

種別短機関銃
口径.45口径
全長813mm
銃身長267mm
重量4,740g
装弾数20発/30発(箱型弾倉)/ 50発/100発(ドラムマガジン)
使用弾薬.45ACP弾ほか
作動方式ブリッシュ・ロック(M1919〜M1928A1)/シンプル・ブローバック(M1/M1A1)
発射速度1,200〜400発/分
銃口初速280m/s(.45ACP弾)


バリエーション

  • M1919:
    初期型。

  • M1921:
    コルト社での初期量産型。15,000挺が製造され、中国製コピーも存在する。

  • M1923:
    .45ACP弾に代え、.45Remington-Thompson弾を使用する軍用試作モデル。
    BARの採用により実用化されず。

  • M1927:
    M1921のセミオートカービンモデル。

  • M1928:
    連射レートを下げた軍用モデル。
    第二次大戦初期にイギリス軍やフランス軍向けに納入された。

  • M1928A1:
    M1928の生産性を上げた米軍向けモデル。ドラムマガジンが使用可能。

  • M1:
    太平洋戦争の勃発で、下士官へ支給するため構造を簡略化したモデル。
    ドラムマガジンは使用できなくなり、コッキングハンドルは右側面に移動した。

  • M1A1:
    M1の改良型。リアサイトの両側に三角形のガードが付いた。


*1 この頃、アメリカでは「禁酒法」が施行されており、酒の密造や密輸入でマフィアが大々的に活動していた。

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