【タンゴ】(たんご)

フォックストロット級の後継として開発された、旧ソ連の攻撃型潜水艦(SS)。

NATOコードでは「タンゴ級(Tango)」だが、旧ソ連海軍では「ソム級(プロジェクト641B型)」と呼ばれている。1970年代初期にゴルキー造船所で1番艦が就役後、後継艦のキロ級と1982年に交代するまで合計19隻が製造されており通常型潜水艦としては世界最大の大きさを誇る。

艦が大型の分多くの機材を導入(センサー装置・対潜ミサイル・大型蓄電池)する事ができ、中でも大型蓄電池の容量が多いおかげでシュノーケル無しで1週間以上潜航し続ける事が出来た。タイプも前期型と後期型が有り、後期型の方が船体が数m長い。これは後期型に「対潜ミサイル用の格納庫を追加したから」と言う不特定情報があるが、詳しい事は分かっていない。就役後はソ連海軍のみで運用され、主にソ連近海での哨戒に使用されていた。

現在ではロシア海軍に約4隻のタンゴ級が残っており、北方艦隊のポリャヌイ海軍基地に全艦が所属していると言うが旧式な艦のため殆ど運用していないと思われる(予備艦の可能性も有り)。なお西側にタンゴ級が初めて公開されたのは、1973年に黒海で行なわれた「ゼヴァストポリ観艦式」の最中である。

モスクワ海軍博物館にはこのうちの一隻B-396「ノヴォシビルスキー・コムソモーレッツ」が展示されている。

スペックデータ

  • タンゴ級前期型(推測)
    乗員62人
    全長91m
    速力
    (水上/水中)
    13kt(24km/h)/16kt(30km/h)
    出力6,256馬力
    潜行深度
    (通常/最大)
    250m/300m
    排水量水上3,100t、水中3,800t
    兵装533mm魚雷発射管6基(すべて艦首。533mm対艦/対潜魚雷、AMD-1000沈底機雷を装備)
    電子機器スヌープトレイ水上捜索レーダー×1基
    中周波アクティブ/パッシブ探知攻撃ソナー×艦首1基
    高周波アクティブ攻撃ソナー×艦首1基
    ブリックグループ電子支援装置×1基
    ループグループ電子支援装置×1基

  • タンゴ級後期型
    基準排水量
    (水上/水中)
    2,770t/3,900t
    全長92m
    全幅8.6m
    喫水5.7m
    速力13ノット(水上)
    15ノット(水中)
    7ノット(スノーケル航行時)
    航続距離7節1,4000浬(水上)
    2.5節400浬(水中)
    可潜深度240m
    乗組員乗員67名+政治将校11名
    主機ディーゼル発動機×3基(6,000馬力)
    電動機×3基(5,400馬力)3軸推進
    燃料軽油420t
    兵装533mm発射管×6門(艦首。魚雷24本または機雷24個を装備。)
    電子装置レニングラード火器管制装置
    ルビコン音波探信儀
    カスケード電波探信儀
    MCI-5水上捜索レーダー

同型艦

艦番号艦名主造船所起工進水就役所属艦隊状態
B-380ゴリィコフスキー
・コムソモーレッツ
クラスエ・ソルモヴォ1981.10.151982.81982.12.25黒海1991年除籍
2000年復帰
B-290北方1995.9.1除籍
B-303北方1995.9.1除籍
B-519北方1995.9.1除籍
B-319北方1996.7.31除籍
B-386北方1996.7.31除籍
B-30北方除籍
B-97北方除籍
B-215北方除籍
B-504北方除籍
B-546北方除籍
B-312バルト海1999.除籍
B-303バルト海1999.7.1除籍
B-519バルト海1999.7.3除籍
B-290バルト海1999.7.3除籍
B-307北方除籍
記念艦として保存
B-396ノヴォシビルスキー
・コムソモーレッツ
クラスノエ
・ソルモヴォ
1979.8.311980.5.171980.10.24北方1998.1.12除籍
記念艦として保存
B-437Magnetogorsk黒海除籍
B-515北方除籍
記念艦として保存


関連:フォックストロット級 キロ級

641B.jpg

Photo:Russia navy


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