【ズムウォルト】(ずむうぉると)

USS Zumwalt(DDG-1000).

アメリカ海軍が、アーレイ・バーク級駆逐艦の後継として計画・建造したミサイル駆逐艦
艦名は第19代アメリカ海軍作戦部長を務めたエルモ・ズムウォルト・ジュニア大将(1920年生〜2000年没)にちなむ。

本艦の開発の源流は、1980年代末に提唱された「打撃巡洋艦」構想に端を発する。
この構想は1990年代になって「アーセナル・シップ」として具現化され、従来のオリヴァー・ハザード・ペリー級フリゲートタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦スプルーアンス級ミサイル駆逐艦を代替する「SC-21」計画として開発が始まった。
当初は同一の設計に基づいて、巡洋艦の代替となる「CG-21(CG(X))」とフリゲート・駆逐艦の代替となる「DD-21(DD(X))」が開発される予定であったが、国防予算の削減に伴う金の壁に直面して計画は全面的に見直され、「CG(X)の建造に伴う技術実証艦」として建造されたのが本艦である*1

船体は高度なステルス性を持つタンブルホーム船型となり、強力なC4ISRや対地射撃能力を備えており、排水量は往時の前ド級戦艦に匹敵する約15,000トンまで大型化された。
また、アメリカ海軍の水上戦闘艦としては初の統合電気推進(IPS)を採用している。

しかし、それらの高度技術を盛り込んだためにやはり金の壁に直面し、当初の調達予定(30隻前後)から大幅に削減された3隻(本艦と同型艦2隻)で調達終了となることが決まっている。
以後はアーレイ・バーク級の増備で補われることになる。

スペックデータ

満載排水量14,797t
全長183m
全幅24.5m
喫水8.4m
推進方式統合電気推進(IPS)
機関・電源ロールス・ロイス? MT30ガスタービン発電機×2基(47,000hp/35MW)
ロールス・ロイス RR450ガスタービン発電機×2基(5,100hp/3.8MW)
非常用ディーゼル発電機×複数
アルストムAIM*2電動機×2基(46,400hp/34.6MW)
アメリカン・スーパーコンダクター社(AMSC)製HTS*3モーター(3番艦)
スクリュープロペラ×2軸
航続距離N/A
最大速力30.3ノット
乗員106名、航空要員:36名
(最終的には100名以下まで削減予定)
兵装AGS*462口径155mm単装砲×2基
Mk.44「ブッシュマスターII」30mm機関砲×2基
Mk.57「PVLS」VLS×20セル4基(ESSMトマホークを発射可能)
艦載機SH-60B/MH-60R LAMPSMk.3×2機または
SH-60B/MH-60R×1機+MQ-8「ファイアスカウト」?UAV×3機
艦載艇7m級高速型複合艇(RHIB)×2艇
11m級RHIB(予定)
C4ISRSMC(ship's mission center)*5
レーダーAN/SPY-3多機能レーダー×3面1基
AN/SPS-73対水上/航海用レーダー×1基
ソナーAN/SQQ-90統合水中戦闘システム(IUW)
AN/SQS-60中周波ソナー×1基
AN/SQS-61高周波ソナー×1基
AN/SQR-20多機能式曳航ソナー(MFTA)×1基
電子戦装備MFEW*6システム(計画中)


同型艦

艦番号艦名建造所起工進水就役母港
DDG-1000ズムウォルト
(USS Zumwalt)
バス鉄工所2011.11.172013.10.282016.10.15サンディエゴ
DDG-1001マイケル・モンスーア
(USS Michael Monsoor)
2013.5.232016.11.172018.3.予定
DDG-1002リンドン・B・ジョンソン
(USS Lyndon B. Johnson)
2017.1.302017.予定2019.予定



*1 しかしその後、CG(X)はキャンセルとなり、アーレイ・バーク級駆逐艦の増備で補うこととされた。
*2 Advanced induction motor(先進誘導電動機)の略。
*3 High temparature superconductor(高温超電導)の略。
*4 Advanced Gun System(先進砲システム)の略。
*5 従来のCIC機能のほか、主機操縦室や群司令部指揮所(TFCC)の機能も包括したもの。
*6 Multi Function Electronic Warfare.

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