【スペイ】(すぺい)

Rolls-Royce Spey
ロールス・ロイスが開発した低バイパス型ターボファンエンジン
1950年代に、BAC1-11やHS121トライデントといった小型旅客機のために開発された。
バイパス比が低いため燃費や静粛性に劣り、高バイパス比エンジンが登場すると旅客機用としては廃れたが、軍用機用エンジンとしては多くの機種に採用された。

また、艦艇ガスタービン版である「マリン・スペイ」も、日本を中心に多数採用されている。
軸出力18,770馬力のSM1Aと、26,150馬力のSM1Cが存在する。

ブリティッシュ・ファントム

スペイを採用した機種の中で最も象徴的なのは、F-4のイギリス版であるファントムFG.1/FGR.2であろう。
本来はターボジェットであるJ79から載せ替えるため、胴体後部の設計は大きく変更され、もとより太いと言われていた胴体はさらに太くなった。
特にFG.1はアメリカのミッドウェイ級よりも小さな英空母アーク・ロイヤルで運用する必要があったため、エンジン換装に加え、前脚緩衝装置の二重化や、レドームを折り畳み式にしてリフトに載せやすくする措置が採られた。

ターボファン化により最高速度や上昇限度が低下したため性能低下と揶揄されることもあるが、一方で燃費効率や加速性能は向上しているため、性能については一概に言えない。
実際に最大の問題であったのは、オリジナルの約2倍と言われる機体コストの高騰であろう。

採用機種

民間機

  • BAC1-11: RB.163 Mk.506/511/512DW
  • HS121: RB.163 Mk.512
  • ガルフストリームII/III: RB.163 Mk.511-8
  • フォッカーF28: RB.183 Mk.155-15/15P*1

軍用機

艦艇(マリン・スペイ)

  • 23型フリゲート:SM1A、2基2軸CODLAG
  • カレル・ドールマン級フリゲート: SM1A、2基2軸CODOG
  • デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲート: SM1C、2基2軸CODOG

*1 スペイ・ジュニア。テイの原型。
*2 リヒートを装備。
*3 ガルフストリームIIIの米空軍型。
*4 アリソン(現在はロールス・ロイスに吸収)によるライセンス生産
*5 フィアット・アビオ(現アビオ)によるライセンス生産
*6 リヒートを装備。後者はMk.202のライセンス生産版。
*7 1軸あたりSM1C 1基と、LM2500 1基の混用。
*8 1軸あたりSM1C 1基と、LM2500 1基の混用。

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