【ジュネーブ条約】(じゅねーぶじょうやく)

戦争における傷病者の救護、および救護者の中立性を保護する目的で締結された国際条約。「赤十字条約」とも。
1863年にスイスのジュネーブで制定された10ヶ条の「赤十字規約」をもとに、翌1864年にヨーロッパ16ヶ国の合意により成立した。

条約で保護された中立の医療機関を示す標章として「赤十字」が採用され、この標章を掲げる施設・人員への攻撃を禁じている。
赤十字の掲揚についても厳格な条件が設けられており、軍事的中立を担保されていない医療機関が赤十字を掲げる事は禁じられている。

非キリスト教の文化においては赤十字を冒涜的な異教の偶像として退けている場合がある。
イスラム教圏では早期からこの事が問題となっており、赤十字の代替として「赤新月」の標章が採択されている。
同様に、宗教的意味を持たない「赤いクリスタル」の標章(赤い菱形の中に各公社・機関ごとの標章を掲げる)も採択されている。

当初は陸戦傷病者のみを対象としたシンプルな内容であったが、以降、陸戦以外の傷病者、民間人、捕虜などに関する条約が順次追加された。
後に制定されたハーグ陸戦条約において傷病者の扱いに関する項目で規定として引用されており、戦時国際法としてセットで適用される。

現在、世界のほとんどの国が批准しているが、罰則規定を持たず、実際には遵守されていない場合が多い。

関連:赤十字 ハーグ陸戦条約 無防備都市宣言


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