【キャンバー】(きゃんばー)

camber
反り。物体の形状が反っている様子。
特に航空分野では、翼の形状が反っている様子を指す。
その程度は、翼形中心線(断面における上面の線と下面の線を平均した線)と、翼弦線(断面における前縁から後縁に引かれた線分)との距離で示される。

キャンバーがない翼(対称翼)でも迎え角を大きくすることにより揚力を発生させることはできるが、抗力も大きくなってしまい、揚抗比が悪化してしまう。
そこで翼にキャンバーを設けることにより、大きな迎え角を取らなくても揚力を得られるようにする。

主翼などは迎え角を取らなくても上向きの揚力を発生させるために、上面がふくらんだ形のキャンバーを持っている。
コアンダ効果によって空気の流れは翼の表面に沿う。翼の上側が膨らんでいると、下面に比べて空気の移動距離が長くなる分だけ気流が速くなり、ベルヌーイの定理にしたがって上面の圧力が低くなる。この圧力差によって揚力を発生するのである。

さりとてキャンバーをあまり大きくしすぎると、今度は迎え角が小さくても高速時に抗力が大きくなってしまい、やはり揚抗比が悪化する。
以上の特性から、低速用の機体ではキャンバーの大きな主翼を、高速用の機体ではキャンバーの小さな主翼を採用することが一般的である。
高速向きの機体を離着陸させる際は、フラップなどを使って一時的にキャンバーを増大させ、低速でも揚力が得られるようにする。

関連:コニカルキャンバー


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS