【キャビテーション】(きゃびてーしょん)

Cabitation.

液体の中に突如として気泡が生じる事。およびそれによって生じる音や衝撃。

液体の沸点は外部からの圧力に影響されており、圧力が高いほど沸騰しにくく、低いほど沸騰しやすい。
このため、液体が真空のような低圧状態になると、常温でも瞬時に沸騰する事がある。
特にポンプやプロペラなどで流体に急激な圧力を加えた場合、局所的な低圧状態が生じてキャビテーションを起こしやすい。

例えば、超音波洗浄機は水の中に超音波で圧力差を生じさせ、微細なキャビテーションを起こして物体の表面を揺らしている。

あるいは、人体の関節を急激に曲げると何かが折れたような音がする。
これは関節腔の中を満たしている体液に急激な圧力差が生じてキャビテーションが生じた事によるものとされる。

液冷エンジン液体燃料ロケットでは配管内部で燃料や冷却剤がキャビテーションを起こして故障を誘発する事がある。

スクリュープロペラにおけるキャビテーション

艦船が高速で航行する際、スクリュープロペラの圧力がキャビテーションを発生させる事がある。
これはプロペラの回転が高速なほど、また水圧が低い浅瀬ほど発生しやすく、10〜20kt程度で発生する事が多い。

発生した気泡はプロペラに金属疲労を起こして故障を誘発し、また水蒸気が壁になって掻き出す水量が減り効率が落ちる。
加えて、気泡の衝突は騒音(キャビテーションノイズ)を発生させ、これはソナーによって検知される。
気泡による騒音は自艦に搭載されたソナーも攪乱し、潜水艦魚雷による奇襲を受けやすくなる。

これは特に潜水艦にとって致命的な特性である。
よって、現代の潜水艦は性能上の巡航速度より遙かに低い速度で運行されている。
全力前進したらキャビテーションノイズで位置が暴露し、仮に生還できたとしても音紋などを仮想敵国に把握されてしまうからだ。

関連:音紋 スーパーキャビテーション魚雷


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