Last-modified: 2021-05-26 (水) 13:06:29 (144d)

【XB-70】(えっくすびーななじゅう)

North American XB-70 "Valkyrie(バルキリー)*1"

1950年代、アメリカが開発した戦略爆撃機
核戦争を想定した設計で、ソヴィエト領内に侵入し、防空網を強行突破して水素爆弾を投下する目的で開発された。

機体案は1954年に発表され、1957年にノースアメリカン社を主契約メーカーとして製作することが決定した。
極めて大規模かつ先進的なプロジェクトのため、ボーイングなど多数の企業が製作に携わっている。

設計上の要目は、マッハ3を超える最高速度と、アラスカ・モスクワ間を無着陸で往還できる航続距離
そのために熱の壁でも焼尽しないステンレス合金の構造材、膨大な燃料、多発の巨大なエンジンが必要とされた。
機体形状は超音速巡航のために極端に細く絞り込まれていて、「戦闘機を3倍大きくした」ように見える独特の外見をしている。

なお、優美な外見から受ける印象とは異なり、運動性は極めて劣悪で、戦闘機のように回避機動を行えないどころか、旅客機が行うような航路変更すら満足に行えなかった。

性能要求は当時の技術水準の極限に達していたが、その性能ゆえに研究は難航し、開発費も暴騰。
しかも研究途上で先んじて弾道ミサイルが実用化された事で存在意義を喪失し、1961年にプロジェクトは終了。

その後、開発チームは超音速旅客機偵察機としての再起を図り、1964年に試作機が完成。
1966年には一周4,500kmのコースでマッハ3.08を33分間維持するという記録を打ち出した。
しかし同年、試作2号機が広告撮影目的での編隊飛行中に僚機(F-104N)と衝突、墜落した。

一部始終が撮影されていたにも関わらず、事故原因について一定の結論は出ていない。
ただ、「異なる機体同士で密集編隊を組む」という飛行計画自体が高難易度で失敗を誘発したと考えられている。

この事故によって信用を完全に喪失したため、機体開発は事実上凍結。試作1号機は国立アメリカ空軍博物館に移された。

関連:MiG-25 T-4(ソ連) M-50? XF-108?

スペックデータ

乗員2名(機長副機長
全長56.39m
全高9.14m
翼幅32m
翼面積585
翼型Hexagonal; 0.30 Hex modified root, 0.70 Hex modified tip
空虚重量115,031kg
総重量242,536kg
最大離陸重量245,847kg
燃料容量140,000kg、46,745 US gal(176,950L)
エンジンGE YJ93-GE-3ターボジェット×6基
推力ドライ:89kN(19,900lbf)
A/B使用時:120kN(28,000lbf)
最高速度マッハ3.1
巡航速度3,219km/h
戦闘行動半径6,899km
航続距離12,200km
上昇限度23,580m
最大運用高度23,600m
揚力マッハ2で約6
翼面荷重414.7kg/
推力重量比0.314
兵装水素爆弾×14発(予定)


バリエーション

  • XB-70A(2機):
    試作機。
    AV-1(機体番号:62-0001)とAV-2(機体番号:62-0207)の2機が製作された。

  • XB-70B:
    AV-3(機体番号:62-0208)。
    YB-70Aの生産1号機になる予定だったが製造途中でキャンセルされた。

  • YB-70:
    爆弾倉を備えた改良試作型。計画のみ。

  • B-70A(65機予定):
    初期生産型。計画のみ。

  • RB-70:
    偵察爆撃機型。SR-71との競争に敗れ不採用。


*1 北欧神話に登場する、戦死者を導く乙女が語源。

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