Last-modified: 2017-01-22 (日) 13:06:11 (98d)

【VC-25】(ぶいしーにじゅうご)

Boeing VC-25(747-2G4B*1).

アメリカ空軍が運用する大統領専用機。
ボーイング社製の超大型旅客機B747-200Bをベースにした機体である。
1986年、それまで大統領専用機として用いられてきたVC-137C(B707)の後継機として開発が開始され、1990年に初飛行。

非公式に「エアフォースワン」の愛称でも呼ばれる。
これはアメリカ空軍の機体に大統領が搭乗する際、その機体に「エアフォースワン」のコールサインが割り当てられる事に由来する。

アメリカ空軍管理下のどのような機体でも大統領が乗っていれば「エアフォースワン」である。
従って、特定の機体を指して「エアフォースワン」と呼ぶのは混同を招くためあまり望ましくはない。

アメリカ空軍第18空軍隷下・第89空輸航空団大統領空輸群に所属し、メリーランド州アンドリューズ空軍基地に所在。
機長は空軍大佐が勤め、乗務員はフライトアテンダントも含めて全員アメリカ空軍の将兵である。
また、離着陸する空港にもその都度事前に空軍関係者やシークレットサービスが配置されて厳重な安全確保を行い、場合によっては身辺警備のために海兵隊が現地に展開する事もある*2

大統領は在任中、公私を問わず本機を使用する事ができると定められている。
このため、24時間対応の運用体制が敷かれ、一度も使用されなかった場合でも5カ月に一度は徹底的な整備点検が行われる。
主な用途は国外訪問および演説や選挙戦のための国内移動だが、休暇中の移動にも用いられる*3
また、国賓や公賓を同乗させる事もある。

現在、機体記号82-8000(テールナンバー28000)・92-9000(テールナンバー29000)の2機が存在する。
82-8000が優先的に使用され、92-9000は予備機および副大統領・閣僚の搭乗機(エアフォースツー)として使用される。

予想される運用寿命は約30年であり、2021年までに後継機を導入する事が計画されている。
ボーイング747-8ICエアバスA380が候補になっていたが、2015年1月に747-8ICが内定。
現行機種よりも1機多い3機が導入される予定。

関連:エアフォースワン B747-47C

内装

本機の内装は要人専用機としてかなりの改装が施されており、座席数は70席程度。
B747標準モデルが350席であるから、乗客数は5分の1位になった計算になる。
そのスペースのほとんどは安全上の配慮と大統領としての執務のために配置されている。

キャビンの構成は原則として非公開だが、一部がテレビ公開された事があり、以下のような構成であると推定されている。

一階席
大統領の執務室
事務室
寝室
ソファーはベッドにもでき、長距離飛行時は大統領搭乗前からベッドにされる。
会議室
密閉・防音仕様。手術室にも転用可能。
9.11事件後は地上との会議・声明発表用のテレビ会議システムが追加された。
医務室
空軍所属の軍医が詰めている。
シークレットサービス待機区画
一般客室
マスコミ関係者などが搭乗する。
武器庫
詳細不明。拳銃軽機関銃などが保管されていると推定される。
ビジネスセンター
ファクシミリ、コピー機、ワークステーションなどの区画。
ギャレー(2か所)
機内食の最終的な調理とドリンクの準備を行う。
電子レンジやオーブンが備え付けられ、民間機では使えない調理器具も揃っている。
大統領など搭乗予定の要人ごとに食事・喫茶の要望が事前調査され、各人ごとに個別の給仕マニュアルが用意されている。
機内食の食材は秘密裏に調達され、アンドリューズ空軍基地で下拵え・真空パックされる。
毒物混入を防ぐため食料の現地調達は禁じられている。
二階席
コックピット
民間仕様と同様の3マンクルーだが、航空士の席も設置。
一部計器類はB747-400と同様にグラスコックピット化されている。
通信室
機密回線も含む87台の電話機*4とインターネット回線・衛星テレビ設備。
秘密通信の暗号化・復号化も行う。

映画では「脱出ポッド」などがあるように描写されていたものもあるが、実機にはそういったものは存在しない。


*1 ボーイング社内での呼称。「G4」は合衆国連邦政府を表す顧客コード。
*2 アメリカ海兵隊は「アメリカ合衆国大統領の親衛隊」でもあり、大統領が連邦議会の同意なく動かすことができる。
*3 これは大統領が休暇中に暗殺される危険性を想定したもので、職権濫用ではない。
*4 白の受話器は一般回線、ブラウンの受話器は盗聴防止回線となっている。

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