Last-modified: 2019-09-27 (金) 08:01:28 (26d)

【VC-25】(ぶいしーにじゅうご)

Boeing VC-25 / 747-2G4B

アメリカ空軍が運用する大統領専用機
ボーイング社製の超大型旅客機B747-200Bをベースにした機体。

ボーイング社内では機体種別に顧客コードG4(合衆国連邦政府を指す)を付与して「747-2G4B」と表記する。

1986年、それまで大統領専用機として用いられてきたVC-137C(B707)の後継機として開発が開始され、1990年に初飛行

非公式に「エアフォースワン」の愛称でも呼ばれる。
これはアメリカ空軍の機体に大統領が搭乗する際、その機体に「エアフォースワン」のコールサインが割り当てられる事に由来する。

アメリカ空軍管理下のどのような機体でも大統領が乗っていれば「エアフォースワン」である。
従って、特定の機体を指して「エアフォースワン」と呼ぶのは混同を招くためあまり望ましくはない。

アメリカ空軍第18空軍隷下・第89空輸航空団大統領空輸群に所属し、メリーランド州アンドリューズ空軍基地をベースとしている。
機長は空軍大佐が勤め、乗務員はフライトアテンダントも含めて全員アメリカ空軍の将兵である。
機内食などの消耗品もアンドリューズ空軍基地で厳重に管理され(調達手段は軍事機密)、現地調達は禁じられている。

操縦士訓練課程の一部を「アトラス航空」に委託しているが、同社はVC-25実機に触れる事を許されていない。

離着陸する空港にも、その都度事前に空軍関係者やシークレットサービスが配置されて厳重な安全確保を行う。
必要であれば大統領令で海兵隊を動員して現地周辺に厳戒態勢を敷く事もできる*1

大統領は在任中、公私を問わず本機を使用する事ができると定められている。
このため、24時間対応の運用体制が敷かれ、一度も使用されなかった場合でも5カ月に一度は徹底的な整備点検が行われる。
主な用途は国外訪問および演説・選挙戦のための国内移動、および国賓・公賓への応対。
加えて、大統領の休暇中の移動にも用いられる(警備上の理由により、現職の大統領は民間機や公共交通機関を利用できない*2)。

現在、機体記号82-8000(テールナンバー28000)・92-9000(テールナンバー29000)の2機が存在する。
82-8000が優先的に使用され、92-9000は予備機および副大統領・閣僚の搭乗機(エアフォースツー)として使用される。

予想される運用寿命は約30年であり、2021年までに後継機を導入する事が計画されている。
ボーイングB747-8ICエアバスA380が候補になっていたが、2015年1月にB747-8ICが内定している*3

関連:エアフォースワン B747-47C 政府専用機 B777-3SBER

機体の構成

原型機との主たる差違は以下の通り

キャビンの構成

キャビンは要人専用機として全面改装が施されており、座席数は70席程度。
B747標準モデルが350席であるから、乗客数は5分の1位になった計算になる。
そのスペースのほとんどは安全上の配慮と大統領としての執務のために配置されている。

キャビンの構成は原則として非公開だが、一部がテレビ公開された事があり、以下のような構成であると推定されている。

一階席
大統領の執務室
事務室
寝室
ソファーはベッドにもでき、長距離飛行時は大統領搭乗前からベッドにされる。
会議室
密閉・防音仕様。手術室にも転用可能。
9.11事件後は地上との会議・声明発表用のテレビ会議システムが追加された。
医務室
空軍所属の軍医が詰めている。
シークレットサービス待機区画
一般客室
マスコミ関係者などが搭乗する。
武器庫
詳細不明。拳銃軽機関銃などが保管されていると推定される。
ビジネスセンター
ファクシミリ、コピー機、ワークステーションなどの区画。
ギャレー(2か所)
機内食の調理とドリンクの準備を行う。
搭乗予定の要人ごとに食事・喫茶の要望が事前調査され、各人個別の詳細な給仕マニュアルが用意されている。
接客上の要求から、運航上危険な調理器具(電子レンジ・オーブンなど)も特別な安全対策を講じた上で備え付けられている。

日本の航空自衛隊が運用していたB747-47Cのように、会議室や事務室を一般客室に変更することはできない。

二階席
コックピット
操縦系統はクラシックジャンボの民間仕様と同様の3マンクルーだが、航空士航法員)の席も設置。
一部計器類はB747-400と同様にグラスコックピット化されている。
通信室
87台の電話機(機密回線も含む)とインターネット回線・衛星テレビ設備。
秘密通信の暗号化・復号化も行う。

映画では「脱出ポッド」などがあるように描写されていたものもあるが、実機にはそういったものは存在しない。


*1 海兵隊の項にもあるように、海兵隊はアメリカ合衆国大統領の「親衛隊」でもある。
*2 これは移動中の暗殺を危惧してのことである。
*3 当初は新造機を3機導入する予定だったが、経費節減のため、2機はロシアのトランスアエロ航空が発注していた機体を改装して用いる予定だという。

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