Last-modified: 2016-10-23 (日) 15:34:06 (360d)

【TCAS】(てぃーきゃす)

Traffic alert and Collision Avoidance System(空中衝突防止装置).

航空機同士の空中衝突を回避するための警報装置。
無線通信を通じて他の航空機のTCASと連絡し、危険な接近を関知すると操縦士に警告を発する。
登場当時既存の航空事故防止策と比べ、地上の航空管制官との交信を必要としない点で革新的だった。

電波周波数帯のうち1,030MHzを問い合わせのために、周波数1,090MHzを応答のために使用する*1
毎秒数回の頻度で周辺航空機に問い合わせを行い、その応答とアビオニクス航法情報から他機との相対位置を推定。
未来位置と衝突の危険性を数学的に推定し、危険があると判定された時に警告メッセージを再生する。
現在のグラスコックピット機では、航法ディスプレイにTCASのディスプレイが統合されている。

TCASを採用する機体同士でしか位置確認ができないため、UFOとの遭遇時など警報が発されない状況もある。
また、判断精度は完全ではなく、まれに誤報が発生する可能性もある。
この点について、現行の運用教則では「より緊急性の高い危険要因への対処時*2を除いて必ずTCASからの示唆に従う」のが原則。
誤報の疑いがあっても、航空管制官からの情報と矛盾があっても、TCASからの示唆に従う事とされる。

TCASに関する判断ミスでもっとも衝突事故に繋がりやすいのは「2機のうち1機だけがTCASに従い、もう1機が従わなかった場合」である。
重大事故の要因としては、TCASが誤算を起こす可能性より、パイロットの疑念によるヒューマンエラーの方が蓋然性が高い。
従うか従わないか決断できる事自体が事故要因であるため、確率上最も安全な「TCASに従う」という選択を常に選ぶよう義務づけられている。

日本では、最大離陸重量5,700kgまたは客席数が19を超え、タービンエンジンを搭載するすべての民間航空機に装備が義務付けられている*3


*1 この周波数帯は、軍用機では敵味方識別装置の質問と返答に用いられている帯域でもある。
*2 「対地接近」「失速」「ウインドシア」などがそうした緊急の危険要因として挙げられる。
*3 根拠法令:航空法施行規則第147条及び付則。

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