Last-modified: 2022-11-27 (日) 11:18:45 (5d)

【TBF】(てぃーびーえふ)

Grumman TBF "Avenger".

1930年代〜1940年代にアメリカのグラマン社が開発・生産し、アメリカ海軍/海兵隊に納入された単発レシプロ艦上攻撃機雷撃機)。

1942年のミッドウェー海戦でデビューし、以後、アメリカ海軍航空隊の主力艦上攻撃機*1として活躍した。
生産途中からグラマンに代わってゼネラル・モーターズ(GM)社が生産を引き継ぎ、同社で生産された機体は「TBM」と呼ばれた。

本機は、前任の艦載雷撃機であったダグラスTBD「デバステイター」?の欠点「航続距離が短すぎて戦闘機急降下爆撃機と連携できない*2」点を解消するため、内部燃料タンクを大型化し、さらに航空魚雷を機内に格納するウェポンベイ方式を採用した。
このため、1940年代当時の艦載機としてはかなり大型の機体に仕上がった。

操縦席背面の機銃は全周旋回可能な銃塔式となり、機体下面にも引き込み式の機銃が備えられ、機内は複数の階層構造となっているなど、双発大型陸上爆撃機に似た異色な構造を持っていた。

本機は雷撃機としては世界最高水準の性能*3を誇り、日本海軍零戦がアメリカのF6Fによって劣勢に追い込まれた1943年以降の海戦で活躍し、戦艦「大和」「武蔵」空母「瑞鶴」など多数の日本艦を撃沈する戦果を挙げた。

戦後にはその搭載力を活かして対潜哨戒機としても用いられたが、当時のレーダーなどの電子機器と対潜攻撃用の兵装を1機に搭載することは非常に困難だったため、探知専用の機体(ハンター)と攻撃専用の機体(キラー)に分離して運用されていた(いわゆるハンターキラー)。

この体制は、一機で探知と攻撃のできるグラマンS-2「トラッカー」の実用化まで続けられていた。

また、本機はイギリス海軍航空隊でも「ターポン」の名称で使用された。
大戦後はアメリカ海軍の余剰機がイギリスの他、ウルグアイ、カナダ、フランス、オランダ、日本(海上自衛隊)に供与された。

大戦後は民間にも払い下げられ、輸送機や遊覧用旅客機、航空機空撮用の撮影機、空中消火機に転用された。
現在でも、数機が個人の手によって飛行可能な状態に保たれており、航空ショーのフライトデモなどで見る事が出来る。

スペックデータ(TBF)

乗員3名
全長12.195m
全高5m
翼幅16.51m
翼面積46
翼型root:NACA 23015
tip:NACA 23009
総重量7,047kg
燃料容量1,249L(中央部インテグラルタンク)+220L×2基(ドロップタンク主翼下))
1,041L(爆弾倉フェリータンク)
オイル:121L
エンジンライトR-2600-8「ツイン・サイクロン」空冷星型14気筒×1基
(出力1,700hp(1,300kW))
プロペラハミルトン・スタンダード社製3枚翅定速プロペラ
最高速度447km/h
巡航速度346km/h
航続距離1,456km(巡航速度時)
上昇限度6,900m
上昇率5.46m/s
馬力荷重0.18kW/kg
固定武装ブローニングM1919 7.62mm機関銃×1挺(機首(初期型))or M2 12.7mm機関銃×2門(主翼
ブローニングM2 12.7mm機関銃×1門(背面)
ブローニング M1919 7.62mm機関銃×1挺(腹部)
爆装3.5インチ(89mm)"FFAR"、5インチ(127mm)"FFAR"または"HVAR"ロケット弾×8発
2,000lb(907kg)までの爆弾または
Mk.13航空魚雷またはMk.24機雷(Fido)(実態は音響誘導対潜魚雷)×1発


バリエーション(カッコ内は生産・改修機数)

TBF

  • XTBF-1(2機):
    R-2600-8「ツイン・サイクロン」エンジン(1,700hp(1,300kW))を搭載したプロトタイプ。
    2号機ではドーサルフィン?を採用した。

    • TBF-1(1,526機):
      プロトタイプ2号機をベースにした初期生産型。

    • TBF-1C(765機):
      TBF-1の主翼に12.7mm機関銃を搭載し、燃料搭載量を増加させた型。

    • TBF-1B:
      イギリス向けアヴェンジャー気慮鴇痢

    • TBF-1D:
      TBF-1の右主翼前縁のレドームにセンチメトリックレーダーを搭載した型。

    • TBF-1CD:
      TBF-1Cの右主翼前縁のレドームにセンチメトリックレーダーを搭載した型。

    • TBF-1E:
      電子機器を追加した型。

    • TBF-1J:
      悪天候に対応できる装備を搭載した型。

    • TBF-1L:
      爆弾倉に格納式サーチライトを搭載した型。

    • TBF-1P:
      写真偵察機型。

    • TBF-1CP:
      TBF-1Cの写真偵察機型。

  • XTBF-2:
    TBF-1のエンジンをXR-2600-10(出力1,900hp(1,400kW))に換装した型。

  • XTBF-3:
    TBF-1のエンジンをR-2600-20(出力1,900hp(1,400kW))に換装した型。

    • TBF-3:
      XBTF-3の量産型。計画のみ。

TBM

  • TBM-1(550機):
    ゼネラル・モーターズ(GM)社製TBF-1。

    • TBM-1C(2,336機):
      ゼネラル・モーターズ(GM)社製TBF-1C。

    • TBM-1D:
      TBM-1の右主翼前縁のレドームにセンチメトリックレーダーを搭載した型。

    • TBM-1E:
      電子装備を追加した型。

    • TBM-1J:
      全天候対応型。

    • TBM-1L:
      爆弾倉に格納式サーチライトを搭載した型。

    • TBM-1P:
      写真偵察機型。

    • TBM-1CP:
      TBM-1Cの写真偵察機型。

  • TBM-2(1機):
    TBM-1のエンジンをXR-2600-10に換装した型。

  • XTBM-3(4機):
    TBM-1CのエンジンをR-2600-20に換装した型。

    • TBM-3(4,011機):
      マイナーチェンジモデル。
      主翼下にハードポイントの追加やエンジンのアップグレードを行った。

    • TBM-3D:
      右主翼前縁のレドームにセンチメトリックレーダーを搭載した型。

    • TBM-3E(646機):
      機体構造を強化し、腹部機銃を撤去、索敵レーダーを搭載した型。

    • TBM-3H:
      水上捜索レーダーを搭載した型。

    • TBM-3J:
      全天候対応型。

    • TBM-3L:
      爆弾倉に格納式サーチライトを搭載した型。

    • TBM-3M:
      「タイニー・ティム」ロケット弾を搭載できるようにした型。

    • TBM-3N:
      夜間攻撃機型。

    • TBM-3P:
      写真偵察機型。

    • TBM-3Q:
      電子戦用装備を搭載した型。

    • TBM-3R:
      7人乗り艦上輸送機型。

    • TBM-3S:
      対潜攻撃機型。

    • TBM-3U:
      汎用・標的機型。

    • TBM-3W:
      腹部レドームにAN/APS-20?レーダーを搭載した型。

  • XTBM-4(3機):
    急降下爆撃兼用のプロトタイプ。
    TBM-3Eをベースに、中央部の補強や折りたたみ機構の変更など翼の改造を行った。

    • TBM-4(2,141機):
      XBTM-4の量産型。日本の敗戦によりキャンセル。

イギリス海軍向け

  • ターポンGR.機淵▲凜Д鵐献磧Mk.機法400機):
    イギリス海軍向けTBF-1の名称。

  • アヴェンジャー Mk.供334機):
    イギリス海軍向けTBM-1/TBM-1Cの名称。

  • アヴェンジャー Mk.掘222機):
    イギリス海軍向けTBM-3の名称。

  • アヴェンジャー Mk.検70機):
    イギリス海軍向けTBM-3Sの名称。キャンセル。

  • アヴェンジャー AS4:
    戦後に納入されたTBM-3Eのイギリス海軍での呼称。

  • アヴェンジャー AS5:
    戦後に納入されたTBM-3Sのイギリス海軍での呼称。英国製の装備を搭載。

  • アヴェンジャー AS6:
    TBM-3Sのイギリス海軍での呼称。英国製の装備を搭載。

カナダ海軍向け

  • アヴェンジャー AS3(98機):
    対潜任務用に改造した型。背部機銃は撤去されている。

  • アヴェンジャー AS3M:
    AS3にMADブームを装備した型。

  • アヴェンジャー Mk.3W2(8機):
    TBM-3Wに似た機体。腹部レドームが大きい。


*1 なお、日本語の文脈では「艦上攻撃機」とされているが、日本の艦上攻撃機が「流星」以外急降下爆撃の能力がなかったのに対し、本機には急降下爆撃の可能な機体もあった。
*2 そのため、アメリカでは艦上爆撃機偵察機の役割を兼務させていた。
*3 唯一対抗できたのは日本の九七式艦上攻撃機のみであったが、それよりも性能が優れていた。

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