Last-modified: 2022-09-19 (月) 17:50:42 (251d)
【T-90】 †
ロシア連邦が開発した第三世代主力戦車。愛称はロシアでは「ウラジーミル」、インドでは「ビシュマ」。
旧ソ連時代に開発が開始され、ソ連崩壊後に生産が開始された。
開発の契機は、湾岸戦争において、前世代であるT-72を用いていたイラク機甲部隊が惨敗した事にある。
これによって失墜したロシア製兵器の威信を取り戻すべく、西側の第三世代主力戦車に対抗する事を主眼とした。
主砲はT-72などの2A46 125mm滑腔砲を改良した2A46M-2。
装弾筒付翼安定式徹甲弾・成形炸薬弾・榴弾などの標準的な戦車砲弾に加え、9K119M「レフレクス」対戦車ミサイル(NATOコード:AT-11「スナイパー」)も砲身に装填・発射できる。
このミサイルはセミアクティブレーザー誘導方式のタンデム成形炸薬弾で、最大射程は5,000m、750mm〜800mm程度の均質圧延鋼板を貫通する。
防御面ではTShU-1-7「シュトーラ*1-1」電子光学式アクティブ防護システムを装備。
レーザー照射を検知して強力な赤外線を放出し、FLIRや赤外線誘導を攪乱する。
また、装甲は積層装甲と「コンタークト5」爆発反応装甲を装備する。
エンジンはT-72系列のエンジンを改良したV-84MS(出力840馬力)を搭載している。
車重も軽く第三世代としては悪くない水準だが、西側の戦車に対して重量出力比で劣るため運動性は高くない。
改善策としてより強力な1,000馬力程度のエンジンの搭載も考慮されている。
輸出も行われており、インドやアルジェリアなどに輸出されている。
スペックデータ †
乗員 | 3名 |
全長 | 9.53m |
車体長 | 6.86m |
全高 | 2.22m |
全幅 | 3.78m |
戦闘重量 | 46.5t |
懸架方式 | トーションバー |
エンジン | V-84-MS 4ストロークV型12気筒液冷スーパーチャージドディーゼル(出力840hp) V-92-S2 V型12気筒12気筒液冷ターボチャージドディーゼル(出力1,000hp)(T-90A) AB-1-P28補助エンジン(出力1kW) |
登坂力 | 60% |
超堤高 | 0.85m |
超壕幅 | 2.8m |
最大速度 (整地/不整地) | 60km/h / 45km/h |
行動距離 | 375km 550km(外部タンク搭載時) |
装甲 | 複合装甲(対化学反応合金、対APFSDS、対HEAT装甲) |
防護装備 | TShU-1-7「シュトーラ-1」防護システム |
兵装 | 2A46M-1 51口径125mm滑腔砲×1門(携行弾数43発) Kord 12.7mm重機関銃×1挺(携行弾数300発) PKT/PKMT 7.62mm機関銃×1挺(携行弾数2,000発) |
開発社 | 産業合同「ウラルヴァゴンザート」(ウラル車輌工場) |
生産台数 | 455輌 |
採用国 | ロシア、インド、アルジェリア、サウジアラビア、キプロス、トルクメニスタン |
派生型 †
- T-72BM:
原型モデル。
- T-90:
基本型。
当初はT-72BUと呼ばれた。
- T-90E:
T-90の輸出型。
- T-90S「ヴラジーミル(Владими́р)」:
後期型。
- T-90S「ビーシュマ(Bhishma)」:
インドでのライセンス生産型。
愛称はインド叙事詩マハーバーラタの登場人物に由来。
主砲を2A46M-4 51口径125mm滑腔砲に換装し、9K119「レフレークス(AT-11「スナイパー」)」?の改良型である9K119M「レフレークスM」主砲発射式対戦車ミサイルの運用が可能となっている。
また、複合装甲にインド国産の「カンチャン・アーマー」、射撃管制装置にフランスのタレス社とベラルーシの合弁企業が開発した熱線映像装置を備えた1A4GTを採用している。
エンジンはV-92-S2 V型12気筒液冷ターボチャージドディーゼル(出力1,000hp)を搭載する。
- T-90M「ビーシュマ」:
インドでのライセンス生産型。
爆発反応装甲に「コンタークト5」を採用し、フランスのタレス社製の「カテリンFC」夜間暗視システムを導入して夜間戦闘能力を向上させた。
また、砲塔上にRWSを装備し、サーブLEDS-150 アクティブ防護システムや、インド国産のオートマチックトランスミッション、タレットの電気油圧スリップリングも採用した。
- T-90K:
指揮戦車型。
- T-90SK:
S型の指揮戦車型。
- T-90A:
2007年にロシア連邦軍への導入契約が結ばれた最新型。
「ウラジーミル砲塔」と呼ばれる角ばった外観の溶接式の砲塔に2A46M-5 55口径125mm滑腔砲を装備。
エンジンはV-92-S2(出力1,000馬力)に換装されている。
- T-90SA:
アルジェリアへの輸出型。
- T-90M:
全周旋回式の車長用サイトを装備した試作型。T-90AMとも。
- T-90MS:
現在インドと交渉中の最新型。
バスル部を設けた砲塔やRWS、アップグレードされた光学機器、新型爆発反応装甲「レリークト」と車体後部がケージ装甲となったサイドスカートを有する。
エンジンはV-92S2F(出力1,130shp)に強化され、変速装置もオートマチック・トランスミッションが採用されている。
- T-90M「プロルイヴ」:
T-90MSのアップグレードモデル。
T-14「アルマータ」用に開発された技術の多くが搭載されている。
主砲はT-14と同じ2A82-1M 125mm滑腔砲、副武装に遠隔操作式の"Kord MT"12.7mm重機関銃を装備する。
主砲は劣化ウランの芯を持ち、射程2,000mからRHA換算で1mの戦車用装甲板を貫通するとされる3BM69「ヴァクーム1(Vacuum-1)」APFSDS、戦車の乗員によって爆発モードの切り替えが可能な「テリニク(Teknik)」HE-Frag、最大有効射程12kmの3UBK21「スプリンテル(Sprinter)」対戦車ミサイルを発射可能。
- BREM-72:
装甲回収車型。
- MTU-90:
架橋戦車型。
- IMR-3:
戦闘工兵車型。
- BMR-3:
地雷処理車型。