Last-modified: 2019-10-31 (木) 14:04:33 (14d)

【SH-3】(えすえいちすりー)

Sikorsky SH-3 "Sea king(シーキング)"
アメリカのシコルスキー社が開発した対潜ヘリコプター。社内呼称S-61。

米海軍HSS-1(S-58)の後継として1957年に発注し、1959年にHSS-2として完成。
1961年には4軍統一の機体命名法によるSH-3Aへ改称されて就役している。
大型の機体ではあるが空母戦闘艦などでの艦上運用が強く意識され、5枚ブレードのメインローターやテイルブームは自動的に折りたたむことができる。
また尾輪式ランディングギアを備えるが、胴体は船底型の水密胴体で、飛行中は主脚を胴体横のフロートスポンソンに引き込む。

飛行用の装備として自動航法装置、安定装置、ドップラーレーダー電波高度計?などを備える全天候型の機体である。
対潜戦闘装備としてはソナー爆雷魚雷などを搭載する。

ローンチカスタマーであるアメリカ海軍の他、多くの西側国家にも採用され、イギリスではウェストランド社によって独自の発展型も開発された。
海上自衛隊では(アメリカ海軍での当初の型式名でもある)「HSS-2」呼称のままで採用され*1、長きに渡って使用され続けた。
傑作機ではあったが老朽化や陳腐化の末、現在では退役が進み、後継のSH-60AW101などに道を譲りつつある。

http://www4.plala.or.jp/klesa108/diary/yksk0407/s-61a_01.jpg
砕氷艦しらせ(初代)搭載のS-61A-1。

スペックデータ

SH-3
乗員4名(パイロット2名、対潜システムオペレーター2名)
容量乗員3名
全長16.7m/22.15m(主ローター含む)
全高5.13m
主ローター直径19m
円板面積284
空虚重量5,382kg/6,201kg(SH-3H)
積載重量8,449kg
全備重量10,000kg/9,525kg(SH-3H)
機内燃料容量3,180リットル
発動機GE T58-GE-10ターボシャフト×2基
GE T58-GE-8F/-100ターボシャフト×2基(CH-124)
エンジン出力T58-GE-10:1,400shp(1,045kW)
T58-GE-8F/-100:1,500shp(1,118kW)
最高速度267km/h
巡航速度219km/h
実用上昇限度4,480m
海面上昇率400〜670m/min
616m/min(SH-2H)
ホバリング上昇限度3,200m
航続距離970km
武装Mk.46/Mk.44対潜魚雷または爆雷×4発
各種ソノブイ
B57核爆雷
対艦ミサイル×2発(SH-2H)


ウェストランド シーキング HAS.5
乗員ミッションに応じて2〜4名
全長17.02m
全高5.13m
主ローター直径18.9m
円板面積280
空虚重量6,387kg
積載重量9,525kg
最大離陸重量9,707kg(過負荷重量)
エンジンロールス・ロイス グノームH1400-2ターボシャフト×2基
(出力1,660shp(1,238kW))
最高速度208km/h(海面上、最大巡航時)
航続距離1,230km
上昇率10.3m/s
武装MK.44/Mk.46/スティングレイ対潜魚雷×4発または爆雷×4発
ドアマウントで機関銃を装備可能


SH-3(S-61)のバリエーション

  • S-61:
    アメリカ軍のSH-3に対するシコルスキーでの呼称。

  • S-61A:
    デンマーク空軍向け。

  • S-61A/AH:
    測量や捜索救難など民間向け汎用ヘリコプター。

  • S-61B:
    海上自衛隊のHSS-2に対するシコルスキーでの呼称。

  • S-61D-3:
    ブラジル海軍向け。

  • S-61D-4:
    アルゼンチン海軍向け。

  • S-61NR:
    アルゼンチン空軍向け。

  • S-61R:
    アメリカ空軍(CH-3/HH-3)・イタリア空軍向け。
    • S-61R-10:
      シコルスキー社で運用された試作機型。
    • S-61R-12:
      アルゼンチン空軍向け。HH-3F仕様。

  • S-61L:
    民間向け陸上ヘリコプター。
    • S-61L MkII:
      S-61Lの改良型。

  • S-61N:
    民間向け水陸両用ヘリコプター。
    • S-61N MkII:
      S-61Nの改良型。

  • S-61「ペイローダー」:
    クレーン作業特化型。機体下部構造が特徴である。
    標準的なS-61Nより約900kg軽量化されている。

  • S-61「ショートスカイ」:
    エンジン1基搭載と外部ペイロードを増やした設計で、S-61L/Nより機体を縮小された。

  • S-61A:
    民間輸送型。

  • CH-124:
    ユナイテッド・エアクラフト・オブ・カナダ社でのライセンス生産型。

シコルスキー製

  • 対潜型
    • XHSS-2:
      試作型。1機のみ。

    • YHSS-2:
      先行量産型。9機が製造された。

    • SH-3A(旧称HSS-2):
      初期型。

    • SH-3D:
      エンジン出力向上型。

    • SH-3H:
      ソノブイ対潜レーダー?などを搭載し、索敵能力を向上させた型。

  • 輸送・汎用型
    • HR3S-1:
      アメリカ海兵隊向け輸送ヘリコプターの提案型。キャンセル。

    • SH-3G:
      A型/G型を改修した輸送・連絡用。

    • UH-3H:
      SH-3Hから対潜機材を撤去した汎用型。

    • CH-3A:
      アメリカ海軍のSH-3Aがアメリカ空軍に移管された機体。

    • CH-3B:
      CH-3Aの正式量産型。CH-3Aも後に統合された。

    • CH-3C:
      アメリカ空軍向けの輸送ヘリコプター型。

    • CH-3E:
      アメリカ空軍向け輸送ヘリコプター型。

  • 捜索救難
  • その他
    • RH-3A:
      機雷掃海用。

    • NH-3A:
      アメリカ空軍向け実験機型。

    • MH-3E:
      HH-3Eを改良した特殊作戦機。

    • VH-3A:
      アメリカ海兵隊が、大統領など連邦政府高官の近距離輸送に用いる機体。
      いわゆる「マリーン・ワン*2
      • VH-3D:
        VH-3Aの改良型。

ウェストランド製

  • 対潜哨戒機型
    • シーキングHAS.1:
      イギリス海軍用の対潜哨戒型。米軍のSH-3D相当。

    • シーキングHAS.2:
      HAS.1の出力増強型。
      • シーキングHAS.2A:
        HAS.1をHAS.2並に改装した機体。

    • シーキングHAS.5:
      HAS.2の電子装備を新型に換装した機体。

    • シーキングHAS.6:
      HAS.5の出力増強型。
      • シーキングHAS.6(CR):
        HAS.6から改装した多目的機型。

    • シーキングMk.42:
      対艦ミサイル搭載可能なインド海軍向け機体。HAS.1に相当。

    • シーキングMk.45:
      HAS.1にエグゾセの搭載能力を付加した、パキスタン軍向けの機体。

    • シーキングMk.47:
      エジプト海軍向けの海上哨戒機型。HAS.2相当。

    • シーキングMk.50:
      オーストラリア海軍向けの海上哨戒機型。HAS.1に相当。

  • 早期警戒型
    • シーキングAEW.2A:
      HAS.2 から改装した早期警戒機型。

    • シーキングAEW.5:
      HAS.5 から改装した早期警戒機型。

    • シーキングAEW.7:
      従来の早期警戒機型から対潜レーダーを除去した型。
      • シーキングASaC.7:
        AEW.7 の能力向上型。

  • 捜索救難型
    • シーキングHAR.3:
      HAS.2の捜索救難機型。

    • シーキングHAR.5:
      HAS.5の捜索救難機型。

    • シーキングMk.41:
      HAS.1からソナー装備を撤去したドイツ海軍向けの捜索救難型。

    • シーキングMk.43:
      ノルウェー軍向けの捜索救難型機。Mk.41に相当。

    • シーキングMk.48:
      ベルギー空軍向けの捜索救難型機。Mk.41に相当。

    • コマンドー Mk.1:
      エジプト空軍向けの捜索救難型機。Mk.41と同等。

  • 多用途型
    • シーキングHU.5:
      HAS.5から改装した多目的機。

    • コマンドー Mk.2:
      コマンドーMk.1の出力を増強した戦術輸送機型。エジプト、カタール軍が採用。
      • コマンドー HC.4:
        コマンドーMk.2のイギリス海軍用戦術輸送機型。

    • コマンドー Mk.3:
      カタール軍向けの武装多用途型機。

アグスタ製

  • AS-61:
    アグスタ社でのライセンス生産型。

  • AS-61A-1:
    マレーシア空軍向け輸出型。

  • AS-61A-4: 軍用輸送及び捜索救難ヘリコプター型。
    アグスタ社によるライセンス生産機。

  • AS-61R:
    イタリア海軍向け長距離捜索救難ヘリコプター型。HH-3F相当。
    アグスタ社によるS-61Rのライセンス生産機。

  • AS-61N-1「シルバー」:
    S-61Nのライセンス生産機。ショートキャビンを持つ。

  • AS-61VIP:
    VIP輸送ヘリコプター型。

  • ASH-3A:
    汎用輸送ヘリコプター型。

  • ASH-3D(AS-61D):
    対潜ヘリコプター型。SH-3D相当。
    アグスタ社によるライセンス生産機。
    イタリア海軍の他、ブラジル、イラン、ペルー、アルゼンチンが導入。

  • ASH-3TS:
    イタリア空軍向けVIP輸送ヘリコプター型。2012年まで運用。

  • ASH-3H(AS-61H):
    イタリア海軍向け対潜ヘリコプター型。SH-3H相当。
    アグスタ社によるライセンス生産機。

三菱重工業

  • 対潜哨戒型
    • HSS-2:
      三菱重工による海上自衛隊向けライセンス生産機。SH-3A相当。
      対潜捜索用センサーとしてAN/AQS-10?ディッピングソナーを備えており、またAN/APN-130?ドップラーレーダーと電波高度計、自動安定装置を連動させた高度な自動操縦装置を備えていた。
      エンジンはCT58-IHI-110-2(出力932kW)を搭載していた。

    • HSS-2A:
      エンジンと電子機器を増強した型。SH-3D相当。
      エンジンはCT58-IHI10-M1(出力1,044kW)とされ、ディッピングソナーもAN/AQS-13?に更新したほか、衝突防止用レーダ(ロータ・ヘッド・レーダー)を開発して新たに搭載した。

    • HSS-2B:
      全般にわたって設計・装備の近代化改修を図った型。SH-3H相当。
      ディッピングソナーをHQS-102、捜索レーダーをHPS-102に国産化するとともに、AN/ASQ-81磁気探知機(MAD)、AN/ALR-66電子戦支援装置ソノブイ受信機、戦術情報処理表示装置(TDDS*3)が追加された。
      なお、この改修により航続距離がHSS-2Aの約985kmに対し約787kmに減少している。

  • 輸送・汎用型

*1 これはP2V-7S2F陸上自衛隊で採用されたHU-1B/D/Hなどと同じパターンだった。
*2 マリーンワンにはUH-60を改造したVH-60もあるが、本機は主としてアメリカ国内の短距離移動に用いられる。
*3 Tactical Data Display System.

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