Last-modified: 2016-11-20 (日) 09:28:37 (190d)

【SA80】(えすえーえいてぃ)

Small Arms 1980's

イギリス軍の現用突撃銃で、軍採用名はL85。
メカニズムはAR-18をベースとしている。
銃身を交換する事で、分隊支援火器のL86にもなる事から、L85とL86の両銃を指す総称としてSA80*1とも呼ばれる。
ブルパップ式であること以外は、特に何の変哲もない5.56mmNATO弾使用の自動小銃である。
.....と書きたいところだが、驚異的(ないしは「脅威的」)なまでに信頼性が低い銃として有名であり、散々に酷評されている。

具体的には「薬莢を噛む」「フィーディングトラブル」「弾倉脱落」といった、軍用小銃ではあり得ないトラブルを頻発させた。
本銃のボルトにはコッキングレバーが直接取り付けられており、これが発射の際に激しく前後に運動するため射撃精度を著しく悪化させる。
そしてこのレバーは、同じような構造のAK47と違って配置も悪く、排出された薬莢がこのコッキングレバーに当たってしまう。
その結果、排莢スピードが妨げられるだけでなく薬莢が排莢口に挟み込まれ、最悪の場合は孔の中に引き戻したりしてしまう。

マガジンの信頼性も非常に低かった。
弾薬を押し出すためのスプリングが弱く、殆どの兵士は装填を28発以下に留めていたが、それでも弾薬が途中で止まってしまい、装填不良の原因となった。
また、マガジン挿入口を広く取ったのは良いが、マガジンキャッチのスプリングが貧弱でマガジンが滑り落ちてしまう事もあった。
この結果、発射と同時に装填と排莢がどちらも正しく行われず、弾薬が薬室に送り込まれる段階で噛み合って止まってしまったり、薬莢が機関部の中に戻ってしまったりなどして作動不良を引き起こした。
コッキングレバーを動かして強制排莢したりマガジンを入れ直して撃てればまだ良し、フィールド・ストリッピングしても直らず、機関部が破損して工場送りになる事も珍しくなかったと言われている。
よく「M16AKより信頼性が〜」等という議論が為されたりするが、それらとは遠く及ばないレベルであるという。

そして最悪なのが、「ファイヤリングピン折れ」であった。
この部品が撃鉄に叩かれることで薬莢の最後部を叩き、装薬に着火して発射されるのだが、ここが折れると撃鉄が機能しても発火が出来なくなってしまうので、やはり工場送りとなる。

また、金属を多用しているため、全長が短いことが利点のブルパップ式なのに重量は5Kg近くと、FA-MAS?ステアーAUGなどのブルパップ式ライフルは勿論、一般的なアサルトライフルよりも重い。

そのように不評な本銃だが、何故か2020年頃まで主力火器として使用し続ける事が既に決定している。
ただ、さすがに不評過ぎたのか、2000年にドイツのH&K社に改修を依頼し、同社の手で大幅な改修を加えられたL85A2へと発展・更新され、これらの欠点は「多少」改善されたというが、この改修でも『ようやく世界標準水準に近くなった』との評価で、未だにその信頼性には大きな疑問が残っている。

そんな中、英陸軍特殊部隊SAS」は既に見切りをつけたのか、本銃ではなくアメリカ軍のM16シリーズ、或いはそのライセンス生産品であるカナダのディマコC7を使用している*2

スペックデータ

種別アサルトライフル
口径5.56mm
全長785mm
銃身長495mm
重量4,980g(弾倉に30発装填、4×SUSAT装着時)
ライフリング6条右転
装弾数30発(箱型弾倉)
使用弾薬5.56mmNATO弾
作動方式ガス圧利用・ターンロックボルト
銃口初速940m/s
発射速度610〜775発/分

バリエーション

  • SA80(L85)IW*3
    独自に開発した4.85mm弾を使用する試作型。
    後に、5.56mmNATO弾に変更された。

  • L85A1:
    正式採用モデル。

  • L85A2:
    H&K社による改修型。
    ガスシステム周りやコッキングハンドルなどの改修が行われている。
    また、AG36(L123A2)グレネードランチャーを使用できるようになった。

  • L85LSW*4
    L4(ブレンの改良型)の後継として開発された分隊支援火器モデル。
    現在は、遠射性能と精度の高さからマークスマンライフルとして運用されている。

  • L22A1/A2:
    カービンモデル。
    ハンドガードの代わりにフォアグリップが取り付けられている。
    A2はピカティニーレールを追加し、イギリス陸軍の戦車兵用装備として配備されている。

  • L98A1/A2:
    訓練用モデル。
    セレクターレバーがなく、ガスシステムを排除しており、グリップ前方まで引き伸ばされたコッキングハンドルを引いて弾薬を発射する。


*1 Small Arms 1980's:1980年代の小火器。
*2 この点については、元SAS隊員であるアンディ・マクナブ氏の著書、「ブラヴォー・ツー・ゼロ」でも語られているとのこと。
*3 Individual Weaponの略。
*4 Light Support Weaponの略。

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