Last-modified: 2016-07-24 (日) 12:27:51 (305d)

【S-3】(えすすりー)

Lockheed S-3 "Viking(ヴァイキング)".

1960年代にアメリカで開発された艦上対潜哨戒機
主契約者はロッキード社だが、艦上機の製造経験が浅かったため、ヴォート?社を従契約者として開発が行われ、機体の開発・製造はヴォート社、胴体の製造と航空電子システムの統合、最終組み立てはロッキード社で行われた。

1960年代にS-2「トラッカー」の後継として"VSX(次期固定翼対潜機)"の名称で開発され、1972年に初飛行。1974年から部隊配備が開始された。

機体は、ほぼ四角形に近い断面の胴体に大きな単垂直尾翼と高翼配置の主翼をつけた構造で、航空母艦という限られたスペースに搭載するために主翼や尾翼は折り畳み機構が備えられており、MADセンサーのブームやFLIR、空中受油ブームは引き込み式になっている。

武装には、胴体内の兵装庫対潜魚雷爆雷を搭載可能な他、翼下パイロン対艦ミサイルのほか、各種爆弾やロケット弾増加燃料タンクを搭載可能である。
また、「バディシステム」と呼ばれる空中給油装置を搭載し、空中給油の母機としても使用できる。

実戦参加は、1991年の湾岸戦争が最初で、陸上施設への爆撃と対艦ミサイルによる艦艇攻撃に使用されたが、本来任務であった潜水艦への攻撃を行った例は無い。

2003年には原子力空母「エイブラハム・リンカーン(CVN-72)」をジョージ・W・ブッシュ大統領が訪問する際に、同艦に乗艦していた第35対潜飛行隊(VS-35)の本機が乗機として使用された。
この機は、アメリカ海軍史上初めて大統領座乗機に付与される「ネイビーワン」のコールサインで呼ばれた機体となった。

米ソ冷戦の終結後はP-3Cに本来の任務を譲り*1艦載機への空中給油母機として使用されたが、F/A-18E/Fの配備に伴い2009年に全機退役した。
NASAでは、海軍から退役した機体の一部を取得して、各種実験機として運用する計画である。

関連:S-2

スペックデータ

乗員4名
機長副操縦士兼センサー員、音響センサー員、戦術調整士
全長16.26m
全高6.93m
全幅20.93m/8.99m(主翼折り畳み時)
主翼面積55.55
空虚重量12,088kg
最大離陸重量23,831kg
エンジンGE TF34-GE-400?ターボファン推力42.2kN(A/B使用時))×2基
速度
(最大/巡航)
447kt/367kt
海面上昇率1,260m/min
実用上昇限度10,670m
航続距離3,000nm(フェリー時)/2,000nm(最大重量時)
兵装AGM-65E/F×2発
AGM-84D×2発
AGM-84H/K×1発
ロケット弾ポッド
Mk.46対潜魚雷×4発
Mk.50対潜魚雷×2発
Mk.56・Mk.60対潜爆雷×6発
Mk.80シリーズ(Mk.82×10発、Mk.83×2発、Mk.84×2発)
B57核爆弾×2発
増槽(300USgal)
バディシステム等
アビオニクスAN/APS-116 捜索レーダー(A型)
AN/APS-137逆合成開口レーダー(B型)
ソノブイ
AN/ASQ-81MADセンサー
ESM
OR-89FLIRなど


主なバリエーション(カッコ内は製造・改修機数)

  • S-3A(187機):
    原型試作機を含む初期生産型。

  • S-3B(119機):
    A型の改修型。
    電子機器の更新やAPS-137逆合成開口レーダーの搭載、AGM-84の運用能力追加などが施された。

  • ES-3A:
    SIGINT機型。「シー・シャドウ」とも呼ばれる。

  • KS-3A(1機):
    空中給油機への試作改修型。バディーシステムが採用されたため不採用。

  • US-3A(6機):
    操作員席と電子機器を廃し貨物室としたCOD(艦上輸送機)型。

  • OUTLAW ヴァイキング:
    遠距離艦船探知システム搭載型。

  • ORCA S-3B:
    機雷原探知システム搭載型。


*1 本機は前任のS-2と異なり、海外への輸出はされず*2、アメリカ海軍のみで運用されていた。
*2 1970年代、日本の海上自衛隊がS-2の後継機として導入を検討していたこともあったが実現しなかった。

トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS