Last-modified: 2020-02-29 (土) 13:37:16 (275d)

【S-3】(えすすりー)

Lockheed S-3 "Viking(ヴァイキング)".

1960年代にアメリカで開発された艦上対潜哨戒機
主契約者はロッキード社だが、艦上機の製造経験が浅かったため、ヴォート?社を従契約者として開発が行われ、機体の開発・製造はヴォート社、胴体の製造と航空電子システムの統合、最終組み立てはロッキード社で行われた。

1960年代にS-2「トラッカー」の後継として"VSX(次期固定翼対潜機)"の名称で開発され、1972年に初飛行。1974年から部隊配備が開始された。

機体は、ほぼ四角形に近い断面の胴体に大きな単垂直尾翼と高翼配置の主翼をつけた構造で、航空母艦という限られたスペースに搭載するために主翼や尾翼は折り畳み機構が備えられており、MADセンサーのブームやFLIR、空中受油ブームは引き込み式になっている。

武装には、胴体内の兵装庫対潜魚雷爆雷を搭載可能な他、翼下パイロン対艦ミサイルのほか、各種爆弾やロケット弾増加燃料タンクを搭載可能である。
また、「バディシステム」と呼ばれる空中給油装置を搭載し、空中給油の母機としても使用できる。

実戦参加は、1991年の湾岸戦争が最初で、陸上施設への爆撃と対艦ミサイルによる艦艇攻撃に使用されたが、本来任務であった潜水艦への攻撃を行った例は無い。

2003年には原子力空母エイブラハム・リンカーン(CVN-72)」をジョージ・W・ブッシュ大統領が訪問する際に、同艦に乗艦していた第35対潜飛行隊(VS-35)の本機が乗機として使用された。
この機は、アメリカ海軍史上初めて大統領座乗機に付与される「ネイビーワン」のコールサインで呼ばれた機体となった。

米ソ冷戦の終結後はP-3Cに本来の任務を譲り、艦載機への空中給油母機として使用されたが、F/A-18E/Fの配備に伴い2009年に全機退役した。
NASAでは、海軍から退役した機体の一部を取得して、各種実験機として運用する計画である。

本機は前任のS-2と異なり、海外への輸出はされず*1、アメリカ海軍のみで運用されていた。

関連:S-2

スペックデータ(S-3A)

乗員4名
機長副操縦士兼センサー員(COTAC)、音響センサー員(SENSO)、
戦術航空士(TACCO)
全長16.26m
全高6.93m/5m(尾部折り畳み時)
翼幅20.93m
8.99m(主翼折り畳み時)
主翼面積55.6
翼型root:NACA 0016.3-1.03 32.7/100 mod
tip:NACA 0012-1.10 40/1.00 mod
アスペクト比7.73
空虚重量12,057kg
総重量17,324kg
最大離陸重量23,831kg
燃料容量機体内:7,320L(1,933 US gal)、JP-5
外部:1,100L(300 US gal)ドロップタンク×2基
エンジンGE TF34-GE-2?ターボファン×2基
推力41.26kN(9,275lbf)
最高速度795km/h(海面上)
巡航速度650km/h
失速速度180km/h
航続距離5,121km/6,238km(フェリー時)
戦闘行動半径852.8km
実用上昇限度12,500m
海面上昇率26.0m/s
翼面荷重334kg/
推力重量比0.353
兵装
兵装搭載量胴体内兵装庫4ヶ所と翼下ハードポイント2ヶ所に最大2,200kgまで搭載可能。
ミサイルAGM-65E/F「マーベリック」×2発
AGM-84D「ハープーン」×2発
AGM-84H/K「SLAM-ER」×1発
魚雷/爆雷Mk.46対潜魚雷×4発
Mk.50対潜魚雷×2発
機雷又はMk.56・Mk.60対潜爆雷×6発
B57核爆弾×2発(核爆雷として使用)
爆弾/ロケット弾Mk.82 500ポンド爆弾×10発
Mk.83 1,000ポンド爆弾×2発
Mk.84 2,000ポンド爆弾×2発
CBU-100クラスター爆弾×6発
ロケット弾ポッド×2基
その他1,136L(300 USgal)ドロップタンク×2基
バディシステム等
アビオニクスAN/APS-116 捜索レーダー(A型)
AN/APS-137逆合成開口レーダー(ISAR)(B型)
OR-89FLIR(3倍ズームカメラ付き)
AN/ARS-2 ソノブイ受信機(ブレードアンテナ×13基)
AN/ASQ-81MADセンサー
AN/ALR-47 ESM装置
AN/ASN-92 慣性航法装置ドップラーレーダーTACANを備える)
ソノブイ×60個(戦術用59個、捜索救難用1個)


主なバリエーション(カッコ内は製造・改修機数)

  • S-3A(187機):
    原型試作機を含む初期生産型。

  • S-3B(119機):
    A型の改修型。
    電子機器の更新やAPS-137逆合成開口レーダーの搭載、AGM-84の運用能力追加などが施された。

  • ES-3A:
    ELINT機型。「シー・シャドウ」とも呼ばれる。

  • KS-3A(1機):
    空中給油機への試作改修型。バディーシステムが採用されたため不採用。

  • KS-3B:
    B型の空中給油機型。提案のみ。

  • US-3A(6機):
    操作員席と電子機器を廃し貨物室としたCOD(艦上輸送機)型。

  • Aladdin ヴァイキング:
    陸上監視とELINT任務改修型。

  • Calipso ヴァイキング:
    密輸監視機型。提案のみ。

  • Gray Wolf ヴァイキング:
    翼下にAN/APG-76?レーダーを取り付けた改造貨物ポッドを装備した型。
    "SeaSTARS"とも呼ばれる。

  • OUTLAW ヴァイキング:
    地平線空中センサー情報システム(OASIS 掘謀觝楫拭

  • ORCA ヴァイキング:
    アビオニクステストベッド型。


*1 1970年代、日本の海上自衛隊S-2の後継機として導入を検討していたこともあったが実現しなかった。

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