【RIM-162】 †
RIM-162 ESSM*1.
RIM-7をベースに開発されたポイントディフェンス(個艦防空)ミサイル。
エリアディフェンス(艦隊防空、RIM-66など)を突破した航空機、対艦ミサイルを迎撃することを目的としている。
現在、西側諸国海軍の代表的なポイントディフェンスミサイルであるRIM-7「シースパロー」では、海面スレスレを超音速で飛来してくる対艦ミサイルに対応することが困難な為、1990年代前半にアメリカ、オランダ、スペイン、ドイツなど10ヶ国が参加して開発を開始し、現在量産中である。
誘導はRIM-7と同じセミアクティブレーダー誘導だが、中間誘導装置としてINS(リングレーザージャイロ)およびデータリンクを搭載したことにより、イルミネーター1基あたり最大3目標に同時対処可能となった。
ただし、この能力を発揮するにはベースライン6以降のイージスシステムなど、優れた射撃指揮装置が必要となり、それ以外の艦では従来どおりイルミネーター1基あたり1発までの誘導となる。
また、RIM-7が発射までに約4分の準備時間を要するのに対し、ESSMは即時発射が可能となり即応性が大幅に改善された。
ブースターも改良されており、燃料にアルミニウムを添加したレーザー点火装置付のMk.134固体推進ロケットモーターと推力偏向ノズルを採用し、最大50Gでの旋回が可能で射程も50km+まで延長されている。
なお、推力偏向ノズルは垂直発射後目標方位への姿勢制御、およびシーカーの目標捕捉が完了した後廃棄される。
ハイGでの旋回による失速を防ぐ為、後部に長いストレーキを装備しその後ろに操舵翼が装備される。
8連装のMk.29"GMLS"、Mk.41?VLS(1セルあたり4発装填)、Mk.48?VLS(DP-48キャニスター使用時は1セルあたり2発装填、Mk.56とも呼ばれる)、Mk.57VLSから発射することができる。
また、コクーンランチャーという簡易型の発射機も用意されている。
現在、改良型のBlock.2が開発中で2020年に配備予定である。
レーダーをアクティブ/セミアクティブに対応したXバンドレーダーに置き換え、誘導部をAIM-120C-7と共通化、デュアルバンドレシーバの採用により中間誘導をSバンドとXバンドの両方に対応させている。
海上自衛隊もESSMの導入に向け、試験艦あすかや汎用護衛艦の一部に発射能力を付与して試験を行い、ひゅうが型護衛艦より制式に配備された。
その優秀さから個艦防空のみならず、あきづき型護衛艦(2代)では僚艦防空の用途にも充てられている。
ESSMの模型
スペックデータ †
全長 | 3.8m |
直径 | 25cm |
翼幅 | 64cm |
重量 | 280kg |
弾頭 | 指向性爆風・破片炸薬(41kg) |
射程 | 30〜50km |
推進方式 | 固体燃料ロケットモーター |
エンジン | Mk134固燃ロケット |
誘導方式 | INS+指令照準線非一致(COLOS)(中間誘導)/SARH(終末誘導) |
速度 | M2.5〜3 |
発射機 | Mk.41VLS(RIM-162A/B) Mk.48VLS(RIM-162C) Mk.57VLS(ズムウォルト級ミサイル駆逐艦) Mk.29"GMLS" 8連装ボックスランチャー(RIM-162D) |
バリエーション †
- RIM-162A:
Mk.41VLS用。双方向データリンクに対応。
- RIM-162B:
Mk.41VLS用。アップリンクのみ。
- RIM-162C:
Mk.48VLS用。アップリンクのみ。
- RIM-162D:
Mk.29発射機用。アップリンクのみ。