Last-modified: 2023-08-01 (火) 21:20:08 (61d)
【RIM-116】 †
RIM-116 Rolling Airframe Missile(RAM)
アメリカとドイツが共同開発した近接防空用艦対空ミサイルシステム。
艦艇に接近する航空脅威、特に対艦ミサイルの撃墜を目的とするCIWSとして運用される。
弾体はサイドワインダー、シーカーはスティンガーを設計母体とする。
開発の経緯 †
開発当時、CIWSは機関砲で行われるものであり、ほとんどファランクスの同義語といって良いほどだった。
これに対し、対艦ミサイルは「超低空を超高速で飛行する」という方向性の進化によってCIWSに対抗。
事実、発見が遅れる事によって迎撃を行う時間的猶予を確保できなくなり、ファランクスは時代遅れになり始めた。
これだけであれば単に機関砲を大口径化すれば対応可能であったが、問題はそれだけに留まらない。
機関砲は複数の目標を同時に撃墜する事が構造的に不可能なため、多数のミサイルを一斉発射されると撃ち漏らしが生じる。
すなわち、機関砲では飽和攻撃に対して有効な防御力を発揮できない。
本システムは、この問題に対する技術的回答として用意された「ミサイルを撃墜するためのミサイル」である。
開発は1974年に始まったが、相対速度がマッハ2を越える状況下での終端誘導は大きな課題であり、開発は難航。
何度も中止の危機を乗り越えつつ、1992年にようやく実戦配備にこぎつけた。
関連:AN/SLQ-32?
スペックデータ †
タイプ | RIM-116A (Block0) | RIM-116B (Block2) | RIM-116C (Block3) |
種別 | 近接防空ミサイル | ||
設計社 | ジェネラル・ダイナミクス | ||
製造社 | レイセオン、ディールBGTディフェンス | ||
全長 | 2.82m | ||
直径 | 12.7cm | 14.61cm | |
翼幅 | 44.5cm | 32.17cm | |
発射重量 | 74.4kg | 88.2kg | |
射程 | 800m〜9km | 400m〜15km | |
飛翔高度 | 1.5m〜6,100m | 1.5m〜8,100m | |
速度 | マッハ2.5 | ||
推進方式 | 固体推進ロケットモーター | ||
エンジン | Mk.36改8またはMk.112減煙モーター(AIM-9のもの) | ||
弾頭 | WDU-17B HE爆風破片弾頭(10kg) | ||
誘導方式 | PRH/IRH(終末段階) | PRH+IIR(終末段階) | |
信管 | 着発・近接信管 |
プラットフォーム †
- Mk.49 GMLS(Guided Missile Launching System, 誘導ミサイル発射システム)
- 艦載用の21連装ミサイルランチャー。総重量5777kg。艦の火器管制装置で制御する。
- Mk.15 mod.31 SeaRAM
- ファランクスシステムの機関砲を11連装ミサイルランチャーに換装した型。独立した火器管制装置を内蔵。
バリエーション †
- RIM-116A(Block0):
初期型。
IRH誘導システムは、スティンガーミサイルのものを使用する。
- RIM-116B(Block1):
センサーを80ピクセルの線型アレイ方式に変更した型。
これにより、全方位交戦能力が付与されたほか、発射直後からPRHに頼らず、全航程を通じてIRH誘導とする(IR-all-the-way guidance)こともできるようになった。
- RIM-116C(Block2):
推進装置等を改良した型。
赤外線画像(IIR)誘導方式が導入され、同一目標への複数弾斉射が可能になった。
また、運動性向上のために2枚のみだった前翼も4枚に増やされている。
主な搭載艦艇 †
- アメリカ
- キティホーク級航空母艦(CV-63とCV-67のみ後日装備)
- 原子力空母「エンタープライズ」(後日装備)
- ニミッツ級航空母艦(後日装備)
- ジェラルド・R・フォード級航空母艦
- スプルーアンス級駆逐艦(一部の艦に後日装備)
- アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦(SeaRAM、一部の艦に後日装備)
- フリーダム級LCS
- インディペンデンス級LCS(SeaRAMを装備)
- コンステレーション級ミサイルフリゲート
- タラワ級強襲揚陸艦(後日装備)
- ワスプ級強襲揚陸艦(後日装備)
- アメリカ級強襲揚陸艦
- ホイットビー・アイランド級ドック型揚陸艦(後日装備)
- ハーバーズ・フェリー級ドック型揚陸艦(後日装備)
- サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦
- ドイツ
- アラブ首長国連邦
- バイヌナ級コルベット
- バイヌナ級コルベット
- エジプト海軍
- アンバサダーMk.3級ミサイル艇
- アンバサダーMk.3級ミサイル艇
- 韓国
- 忠武公李舜臣級駆逐艦
- 世宗大王級イージス駆逐艦
- 独島級強襲揚陸艦
- 仁川級フリゲート
- 日本
- いずも型ヘリコプター搭載護衛艦(SeaRAMを装備)
- もがみ型護衛艦(SeaRAMを装備)
- ギリシャ
- リュッセン級ミサイル艇
- トルコ
- アダ級コルベット(建造中)
- エジプト
- アンバサダーMk.3級ミサイル艇(建造中)