Last-modified: 2023-06-02 (金) 16:38:43 (120d)

【RAH-66】(あーるえーえいちろくじゅうろく)

Boeing/Sikorsky RAH-66"Comanche(コマンチ)*1".

アメリカ陸軍のLHX計画に基づき開発されていた偵察攻撃ヘリコプター

LHX(Light Helicopter X)とは、アメリカ陸軍が1980年代に提唱した、一機種で輸送・観測攻撃を兼ねるという大胆なヘリコプターの開発計画であった。
しかし輸送能力は他の性能と相反しやすいため、1987年に要求から外され、OH-58AH-64の後継となりつつ、強行偵察も可能な機種として研究が開始された。

将来の機種統合を睨んだ大掛かりな調達計画がなされたため、シコルスキーボーイングと共同開発し、ライバルのベルマクダネル・ダグラスと組んで開発する運びとなった。
ペーパープランを比較検討した結果、1991年にボーイング/シコルスキー案が採用された。
一説にはベル/マクダネル・ダグラス案のほうが性能上優れていたが、コスト・パフォーマンスなどを重視して選定されたといわれる。
当時は東欧に民主化の波が押し寄せており、冷戦体制に変化がおとずれることも予想されたのである(実際に、冷戦体制はその直後に崩壊した)。

こうした環境の変化から「不要論」をささやかれつつも試作機は1995年にロールアウトし、1996年に初飛行した。
機体の設計は前線での運用を想定し、生存性、特に機動性とステルス性が重視された。
複合材を多用した小ぶりな機体には専用に設計されたT800?ターボシャフトが双発で搭載され、非常に高度な機動性を誇る。

コックピットBC兵器に耐えるべく与圧されている。
操縦系統にはフライバイワイヤーを採用し、ヘリコプターには珍しいサイドスティック式のサイクリックレバーを備える。
コックピットの座席レイアウトはタンデム複座だが、通常の攻撃ヘリコプターとは異なり、前席が操縦士、後席がガナーとなっている。
これも機動性を重視したがためである。

本機はヘリコプターとして初めて本格的にステルスを考慮された機体である。
胴体は二次曲面を組み合わせた外形をしており、機尾にはダクテッドファンを備える。
空気取入口はくさび形、エンジン排気口は胴体脇の下部にスリット状のものを設けるという特殊な方式を採っている。
メインローターは5枚ブレードの先端後退角付き、ダクテッドファンはオフセット配置で、静粛性も配慮されている。
ランディングギアガトリングガンは引き込み式になっている。

また、ヘリコプターとしては珍しくウェポンベイを備え、左右にAGM-114を各3発、もしくはAIM-92を各6発装備することが可能。
攻撃力や航続力を重視する場合はステルス性を犠牲にしてスタブ翼を追加し、さらなるミサイル増槽を吊り下げることができる。

世界各地への緊急展開も意識したため、機体は輸送機に搬入させやすく作られており、たとえ半分解状態で輸送機に搭載されても、わずか22分で飛行状態にすることが可能となっている。

こうして細々と開発が続けられていた本機だったが、21世紀に入ってとうとう正式に開発中止が決定された。
無人偵察機が普及し、高価な有人機で偵察する意義が薄れたためである。
中止段階で80億ドル近い開発費が投入されていた。

しかしながらOH-58Dの後継機は依然必要であり、また現場では武装偵察機を欲する声も大きく、本機の代替として安価な武装偵察ヘリコプターを開発するARH計画が立案された。
ベルベル407をベースにしたベルARH、ボーイングOH-6の最新型であるA/MH-6Mをそれぞれコンペティションに供し、結果としてベルARHが選定された。
ベルARHはARH-70と改称され開発が進められていたが、こちらも価格高騰を招き開発中止されてしまった。
後継機を失ったOH-58Dは、当面延命措置を施されて使用され続けるという*2

スペックデータ(RAH-66A)

乗員2名
全長14.28m
全高3.37m
全幅2.03m(最大胴体幅)
主ローター直径12.19m
主ローター面積41.2屐5枚羽メインローターとフェネストロンテイルローター)
ブレード
セクション
root:Boeing VR-12
tip:Sikorsky SSC-A09
空虚重量4,218kg
総重量5,601kg
最大離陸重量7,896kg(最大燃料時)
燃料搭載量1,142L(301.6 US Gal)(機体内)+1,700L(450 US Gal)ドロップタンク×2基
+420L(112 US Gal)サイドウェポンベイタンク×2基(オプション)
合計:4,549L(1201.6 US Gal)/5,396L(1425.6 US Gal)(ウェポンベイタンク付)
エンジンLHTEC T800-LHT-801ターボシャフト×2基
出力1,563hp(1,165kW)
最高速度324km/h(マストレーダー無し)
307km/h(マストレーダー有り)
巡航速度306km/h(マストレーダー無し)
276km/h(マストレーダー有り)
航続距離485km(機体内燃料)
戦闘行動半径280km(機体内燃料)
フェリー航続距離2,200km
持久力機体内燃料で2時間30分
上昇限度4,570m
G限界+3.5 -1
上昇率4.55m/s(マストレーダー無し)
152.4m/s(マストレーダー有り)
円盤荷重50.4kg/
350kg/屐YRAH-66)
パワー/マス0.21kW/kg(最大離陸重量、離昇出力時)
固定武装XM301 3銃身20mm機関砲×1門
ターレットガンシステム(Turreted Gun System,TGS)に搭載、装弾数500発)
兵装内部ウェポンベイ
AGM-114「ヘルファイア」AGM×6発 or AIM-92「スティンガー」AAM×12発
or ハイドラ70 70mmロケット弾×24発
最大搭載量(武装用スタブウィング使用時):
AGM-114×8発/AIM-92×16発/ハイドラ70×56発
アビオニクス小型「ロングボウ」レーダー
リットン社製レーザーリングジャイロとGPSナビゲーション/攻撃システム



*1 北米先住民族のコマンチ族(コマンチェ族とも)から。
*2 今後、AH-64EUH-72に任務を譲り、順次退役となる見込みである。

トップ 編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS