【QH-50】 †
Gyrodyne QH-50 DASH
アスロックよりも更に広範囲をカバーできる対潜兵器としてアメリカ海軍が考案し、ジャイロダイン社が開発した無人対潜ヘリコプター。
開発当初は「DSN-1」と呼ばれていたが、後に四軍統一命名法の導入により現在の名称に変更された。
Drone Anti Submarine Helicopter(無人対潜ヘリコプター)を略してDASHとも呼ばれている。
DASHシステムは、無人航空機のほか、敵潜水艦の捜索・追尾にあたるAN/SQS-29/30/31/32スキャニング・ソナーと、航空機の捕捉・追尾にあたるAN/SPS-10レーダーおよびMk.25(AN/SPG-25)レーダー、そして無線や信号処理装置、情報表示装置といった艦上装置によって構成されていた。
機体は、むき出しのエンジンにランディングスキッドと二重反転ローターを取り付けただけのような外観をしている。
対潜魚雷または爆雷を搭載し、母艦となる駆逐艦からの遠隔操作で目標の潜水艦の上空まで飛び、遠隔操作で魚雷・爆雷を投下して母艦へ帰投する。
1959年に初飛行した後、アメリカ海軍では1962年から実戦配備を開始し、746機が生産された。
当時、まだ多数が(近代化改修を施された上で)現役にあった*1第二次世界大戦世代の艦隊型駆逐艦や護衛駆逐艦に多く搭載され、アスロックと並ぶ対潜兵器となった。
また、日本の海上自衛隊にも17機が供与され、「たかつき」型多目的護衛艦や「みねぐも」型対潜護衛艦などに搭載された*2。
しかし、魚雷や爆雷を運ぶ以外の用途に使えず汎用性に欠け、また、当時の無人機はジャミングなどに対して脆弱であった*3ために早期に退役し、代わって有人の多用途ヘリコプター(LAMPS)が配備された。
スペックデータ †
全長 | 3.94m(QH-50C)/2.33m(QH-50D) |
全高 | 2.96m |
全幅 | 1.60m |
ローター直径 | 6.10m |
全備重量 | 1,030kg(QH-50C)/1,060kg(QH-50D) |
機関 | ポルシェ YO-95-6 4気筒空冷水平対向ピストンエンジン×1基(QH-50A) ポルシェ YO-95-6 4気筒空冷水平対向ピストンエンジン×2基(QH-50B) ボーイング T50-BO-8ターボシャフト×1基(QH-50C) ボーイング T50-BO-12ターボシャフト×1基(QH-50D) |
出力 | 72hp(54kW)(QH-50A) 86hp(64.5kW)(QH-50B) 300shp(255kW)(QH-50C) 365shp(272kW)(QH-50D) |
最高速度 | 150km/h |
航続距離 | 65浬(約120km) |
上昇率 | 145m/min |
戦闘行動半径 | 52km(QH-50C)/74km(QH-50D) |
実用上昇限度 | 4,940m(QH-50C)/4,790m(QH-50D) |
武装 | Mk.43/Mk.44/Mk.46短魚雷×1〜2発、Mk.17核爆雷×1発 |
派生型 †
- DSN-1/QH-50A(9機):
前生産型。
エンジンはポルシェ社製4気筒YO-95-6ピストン・エンジン(72hp)を搭載。
- DSN-2/QH-50B(3機):
前生産型。
エンジンはポルシェ社製4気筒YO-95-6ピストン・エンジン(86hp)を双発で搭載。
- DSN-3/QH-50C(373機):
量産型。
エンジンはボーイング社製T50-BO-8ターボシャフト(255hp)を搭載。
ペイロードが増加し、魚雷を2発搭載できた。
- QH-50D(377機):
改良量産型。
エンジンをボーイング社製T50-BO-12ターボシャフト(365hp)に強化。
ファイバーグラス製のローターブレードを採用し、燃料容量も増加している。
- QH-50DM(10機):
D型の改良型。
エンジンはD型と同様だが、出力を550shpに強化。
ベトナム戦争中にアメリカ陸軍が偵察用として使用した。
- YQH-50E(3機):
エンジン換装型。
ボーイング社製T50シリーズの生産終了に伴い、アリソンT63シリーズ(T63-A-5A)を搭載した。
- QH-50F:
YQH-50Fの生産型。提案のみ。
- QH-50H:
より大きな胴体とローターを備えたQH-50Fの双発モデル。提案のみ。
*1 当時はフォレスタル級航空母艦など、大型艦の整備が優先されていた。
*2 うち1機は呉史料館「てつのくじら館」に展示保存されている。
*3 実際に多くの機体が、艦や他の航空機が通信に使用する電波との混信によって操縦不能となり、墜落している。