Last-modified: 2019-12-02 (月) 03:29:21 (1400d)
【PT-91】 †
PT-91 "
ポーランドで開発された主力戦車。
T-72M1の発展型で、1995年に配備が開始された。
主な改修点としては、射撃統制システムの換装(ソ連製の2E28Mから国産のSKO-1「ドラヴァ」)、爆発反応装甲の装備、エンジンの換装・高出力化、トランスミッション、自動装填装置などである。
SKO-1「ドラヴァ」射撃統制システムは砲手用のPCD昼間照準器、イスラエルのELOP社製造のTES赤外線暗視装置、指揮官用のPOD-72昼夜間観察照準器、弾道コンピューターおよびそれへの情報処理システム、レーザー測量器などで構成されている。
装甲には複合装甲とポーランド製の「エラヴァ(ERAWA)」爆発反応装甲を導入している。
主にアップグレード・キットとして提供され、ポーランド陸軍とマレーシア陸軍で採用されている。
スペックデータ †
PT-91「トファルディ」 | |
開発・製造社 | 機械設備開発研究センター(OBRUM) ブマル・ワベンディ機械製作所 |
乗員 | 3名 |
全長 | 9.67m |
車体長 | 6.95m |
全高 | 2.19m |
全幅 | 3.59m |
戦闘重量 | 45.9t |
懸架方式 | トーションバー方式 |
エンジン | PZL-ヴォラ S-12U液冷ディーゼル(出力850hp) |
登坂力 | 58% |
超堤高 | 0.85m |
超壕幅 | 2.8m |
最大速度 | 60km/h(路上・整地)/ 45km/h(不整地) |
行動距離 | 450km/700km(追加燃料タンク搭載時) |
装甲 | 複合装甲 正面、側面、上面に「エラヴァ-1」または「エラヴァ-2」ERAを装備 |
兵装 | 2A46M 51口径125mm滑腔砲×1門(携行弾数42発) NSVT 12.7mm重機関銃×1挺(対空用、携行弾数300発) PKT 7.62mm機関銃×1挺(主砲同軸、携行弾数2,000発) 12連装発煙弾発射機×2基 |
PT-91M「ペンデカル」 | |
乗員 | 3名 |
全長 | 6.86m |
全高 | 2.60m |
全幅 | 3.70m |
戦闘重量 | 48.5t |
懸架方式 | トーションバー方式 |
エンジン | PZL-ヴォラ S-1000R液冷ディーゼル(出力1,000hp) |
最大速度 | 65km/h(路上・整地) |
行動距離 | 450km/700km(追加燃料タンク搭載時) |
装甲 | 複合装甲 「エラヴァ-3」ERA |
兵装 | 2A46MS 51口径125mm滑腔砲×1門(携行弾数42発) M2HB 12.7mm重機関銃×1挺(対空用、携行弾数300発) FN MAG 7.62mm機関銃×1挺(主砲同軸、携行弾数2,000発) 12連装発煙弾発射機×2基 |
主なバリエーション †
- PT-91「トファルディ」:
T-72M1の改修型。
主な装備はSKO-1M「ドラヴァ-1T」射撃統制システム*2、PCO SSC-1「オブラ-1」レーザー警戒システム、「エラヴァ」爆発反応装甲を装備。
エンジンはPZL-ヴォラ S-12U(出力850hp)を搭載している。
新規製造された車両(20両(1993年〜1994年)+78両(1995年〜1997年))とT-72M1(1980年代後半に製造されたもの)から近代化改修された車両(135両)がある。
- PT-91A:
エンジンをPZL-ヴォラ S-1000(1,000馬力)に換装し、機械式トランスミッションやその他マイナーチェンジを施した型。
試験や軍事展覧会で使用されている。
- PT-91Z「ハルディ*3」:
近代化改修型。ZはZmodernizowany の略語で「近代化された」という意味。
SAGEM「サヴァン-15」射撃統制システムや新型の主砲安定システムを備え、走行中の射撃精度を向上させた。
試作のみだが、後にPT-91Mの開発の参考に用いられた。
- PT-91M/MA1「ペンデカル*4」:
マレーシア向け輸出型。
SAGEM 「サヴァン-15」射撃統制システムのほか、SAGEM VIGY 15 ジャイロスタビライザ付きパノラマ光電子サイト、「シグマ30」レーザージャイロ慣性航法装置、EADS EPS72砲塔安定システム、PCO SSP-1「オブラ-3」レーザー警戒システム、「エラヴァ-3」爆発反応装甲、ZM デザメト902A 81mmグレネードランチャー、570P型ディール・レムシャイト GmbH無限軌道などを装備する。
エンジンはレンク/SESM ESM-350M自動トランスミッションを備えたPZL-ヴォラ S-1000R(出力1,000hp)を搭載。
- PT-91E/Ex:
輸出型。
- PT-91P:
ペルー向け輸出型。採用されず。
新型のPCO 「ドラヴァ-TG」射撃統制システム、サーマルサイト、現代的な通信システムなどを備える。
その他派生型 †
- WZT*5-3:
PT-91またはT-72の車体を元にした装甲回収車型。
武装として車長ハッチに12.7mm重機関銃を装備。
15トンの持ち上げ能力を持つテレスコープ付きクレーン、フロントドーザーブレード、メインとサブのウィンチ2つを装備。
- MID*6 ビゾン*7-S:
戦闘工兵車型。
- MID(8両):
PT-91ベース。 - MID-M(3両):
PT-91Mベース。マレーシア陸軍に配備。
- MID(8両):
- PMC*8:
架橋戦車型。
- PMC-90:
PT-91ベースの試作型。MLC-60橋を用いる。不採用。 - PLC-レグアン(Leguan)(5両):
PT-91Mベースの派生型。26mのMLC60 レグアン架橋装備を有する。
マレーシア陸軍に配備。 - MG-20「ダグレヤ-G」:
T-72ベース。MLC-70架橋システムを有する。
シャーシが延長され、ホイールが1個増設されている。
ポーランド陸軍においてT-55ベースのBLG-67Mを代替する予定。
- PMC-90:
- PLA*9 ロアラ*10:
PT-91の車体をベースに、装甲化された砲塔とレーダーと連動したエリコンL-90 35mm高射機関砲を2門搭載した自走対空砲型。
レーダーは三次元索敵型と直接交戦用の2基を搭載。
レーザー照準も可能で、テレビ画面とFLIR画面により全天候昼夜間戦闘能力を保有し、猛烈なECM環境下でもレーダーに頼らない戦闘が可能である。
- PT-94「ゴリィル*11」:
PT-91開発から得た経験を用いたポーランド製新型MBT開発計画。計画のみ。
メルカバ?戦車と似た設計の予定で、さらに改良を加えたエンジンやトランスミッション、射撃管制システムを搭載する。
装甲は複合装甲にERA、主武装は120mmないし125mm戦車砲と60mm迫撃砲、副武装にPKT同軸機銃とNSWT対空機銃を装備予定だった。
- PT-97「ゲパルト*12」:
T-72のさらなる近代化改修計画として準備されたもの。PT-2001としても知られる。
正面装甲と冒険的に2A46を用いたルクレール?様の砲塔へと改修する「ブマル」案と正面と側面に新型の反応装甲を用い、主砲をラインメタル L44 120mm滑腔砲とする「OBRUM」案があった。
財政的な問題から計画のみ。
- AHS クラブ*13:
NATO標準の155mm榴弾砲を装備した自走榴弾砲型。
52口径砲搭載のAS-90?自走榴弾砲の砲塔(スタロヴァ・ヴォラ製鉄所でのライセンス生産品)とPT-91の車体を組み合わせている。
WB エレクトロニクスの「トパス」砲兵射撃管制システムを用いる。
*1 ポーランド語で「堅い、不屈の」という意味。
*2 初期生産型は代わりにSKO-1「ドラヴァ」を備える。
*3 Hardy:ポーランド語で「誇り高い」という意味。
*4 Pendekar:シラット(東南アジアで行われる伝統的な武術)の達人のことを指す。
*5 Wóz Zabezpieczenia Technicznego:技術支援車両の略。
*6 Maszyna Inżynieryjno-Drogowa:道路工作車の略。
*7 Bizon:ポーランド語でバイソンの事。
*8 Pomocniczy Most Czołgowy:戦車補助橋の略。
*9 Przeciwlotniczy zestaw artyleryjski:対空砲熕セットの略。
*10 ポーランド語でロワール川のこと。
*11 Goryl:ポーランド語でゴリラの意。
*12 Gepard:ポーランド語でチーターの意。
*13 Krab:ポーランド語でカニの意。