Last-modified: 2023-08-23 (水) 10:51:28 (34d)
【P-8】 †
Boeing P-8 "Poseidon".
アメリカ海軍で使用されている対潜哨戒機・P-3/EP-3Eの後継として開発された多目的哨戒機。
ボーイング社製の小型双発ジェット旅客機・B737-800ERXをベースとした機体である。
開発当時は「MMA(Boeing Multi-Mission Maritime Aircraft*1)」と呼ばれていた。
製作はボーイングを中心としたMMA産業チームが行う。
その主な参加企業と担当は以下のとおりである。
- ボーイング:機体
- CFMインターナショナル?:ターボファンエンジン(CFM56-7B)
- ノースロップ・グラマン:光学/赤外線センサー、赤外線妨害システム、電子支援システム、データリンク
- レイセオン?:AN/APY-10マルチモードレーダー、SIGINT、曳航デコイ、GPSジャマー、IFF、通信システム
- スミス・エアロスペース?:飛行管理システム
ボーイング社は2004年6月に、連邦政府と38億9000万ドルで開発・7機の試作機製作の契約を交わした。
そして2009年4月に第1号機が納入され、P-8「ポセイドン」と命名された。
アメリカ海軍では2012年から配備が開始されており、現在のP-3を代替するため108機の納入を予定している。
また、アメリカ以外ではインドやオーストラリア・英国*2が導入している他、イタリアや韓国が導入を検討している。
スペックデータ †
乗員 | 9名 操縦士3名(機長、副機長、リザーブ) TACCO2名 センサーワン/ツー 電子戦オペレーター(EWO)2名(センサースリー/フォー) |
全長 | 38.56m |
全高 | 12.83m |
全幅 | 35.81m |
翼面積 | N/A |
自重 | 62,730kg |
最大離陸重量 | 83,780kg |
搭載量 | 34,096kg |
エンジン | CFMインターナショナル CFM56-7Bターボファン×2基 |
推力 | 27,000lbf(120kN) |
最高速度 | 906km/h |
実用上昇限度 | 12,500m |
戦闘行動半径 | 2,000nm |
兵装 | ASM:AGM-84「ハープーン」、AGM-84H/K「SLAM-ER」 魚雷:Mk.46、Mk.50 機雷、爆雷 |
アビオニクス | AN/APY-10?多目的レーダー AN/ASQ-508A磁気探知機(P-8I) AN/APS-143(V)3マルチモードレーダー(P-8I) |
主なバリエーション †
- P-8A「ポセイドン」:
米海軍向け。オーストラリア空軍も導入している。
- P-8I「ネプチューン」*3:
インド海軍向けでTu-142MK-Eの後継。24機を配備予定。
インド海軍の要求により、P-8Aに装着されてないAN/ASQ-508A磁気探知機(MAD)と、AN/APS-143C(v)3 マルチモードレーダーが搭載されている。
- P-8 AGS*4:
E-8*5の後継としてアメリカ空軍に提案されたモデル。
機体下部にアクティブ・フェイズドアレイ・アンテナを内蔵したポッドを搭載する。
- ポセイドンMRA.1:
イギリス空軍向けの名称。ニムロッドMR.2の後継として2020年から受領開始。
*1 「多用途海上航空機」の略。
*2 競合機として日本のP-1も候補にあったが、コンペティションで本機に敗れている。
(本機のベースとなったB737は、10,000機以上の生産実績があり、修理・整備・交換部品の調達といったユーザーサポートの利便性が高いことも要因とみられている。また、RAFは早期警戒機として同じB737をベースにした「E-7A「ウェッジテイル」を導入しており、パーツの互換性も高かったことも要因とみられている)
*3 なお、インドは以前、同じ愛称のP-2を保有していたこともある。
*4 Airborne Ground Surveillanceの略。
*5 同機は中古のB707をベースとしており、機体の老朽化が否めなかった。