Last-modified: 2017-06-14 (水) 20:51:43 (12d)

【P-51】(ぴーごじゅういち)

North American P-51Mustang(マスタング)(「ムスタング」とも。)
アメリカ合衆国のノースアメリカン社が開発したレシプロ戦闘機
第二次世界大戦で使用された各国の戦闘機の中で最優秀の機体といわれている。

アメリカ陸軍航空隊及びイギリス空軍が制式採用し、欧州と太平洋で活躍したことは有名だが、初期型の欠陥と開発コンセプトはあまり有名ではない。

本機は1939年、イギリスからの発注で開発がスタートされた。
当時、ノースアメリカン社はカーティス社が生産し、米陸軍に納入していたP-40「ウォーホーク」?の下請け生産依頼を軍部から受けていたが、これを断わるため、わずか117日で試作機「NA-73」を製作。
その14日後には初飛行させ、P-51A(一部はA-36)として米英両国で制式採用された。
しかし、A型は低高度での過給性能を重視したアリソン社製の「V-1710 F3R」液冷V型12気筒レシプロエンジンを搭載*1していたことにより、中高度・高高度での性能は非常に低かった。
当初の運用者であったアメリカ陸軍航空隊及びイギリス空軍は、このA型を戦闘爆撃機偵察機として運用していた。

本機の転機となったのは、1942年4月にロールス・ロイス?のテストパイロット、ロニー・ハーカー氏がエンジンロールスロイス?社が開発*2した"マーリン61"に換装した時の性能計算を行わせ、それをイギリス空軍が実行に移した時からだった。
この換装型はイギリスでは「P-51Mk.X」(マーリン65搭載)、アメリカでは「P-51B」と呼ばれる。
A型で660km/hだった最高速度は703km/hとなり、高高度性能も格段に向上した。
そしてD型以降ではコックピットバブルキャノピーに変えられ、戦闘時の後方視界も明瞭となった。

実戦では航続距離の長さを活かし、ドイツ領内最深部や、日本本土への爆撃機護衛任務に従事した。
同時期の敵国戦闘機であるFw190Bf109零式艦上戦闘機雷電飛燕疾風?に対しては性能的にも数的にも優位に立ち、常に互角以上の戦果をあげていたという。

戦後、アメリカ空軍全体にわたる命名規則一新計画によって形式名称が「F-51」へと変更された後は朝鮮戦争戦闘爆撃機として活躍したほか、第一次中東戦争第二次中東戦争で活躍した。

総生産機は15,675機で、米国製戦闘機としてはP-47(15,660機)に次いで2位である。

現在でも、多くの機体が個人の手によって飛行可能な状態に保たれており*3航空ショーのフライトデモや民間のエアレースなどで見る事が出来る。

IMG_4551.jpg

(P-51D)

関連:P-38 P-47

スペックデータ

乗員1名
全長9.8m
全高4.17m
全幅11.3m
主翼面積21.7
翼面荷重211kg/
空虚重量3,460kg
運用重量4,580kg
最大離陸重量5,490kg
発動機アリソンV-1710 F3R液冷V型12気筒(出力1,475hp (1,100kW))×1基(P-51A)
パッカード「マーリン」V-1650-7液冷V型12気筒(出力1,695HP (1,240kW) )×1基
速度
(最大/巡航)
703km/h / 443km/h
航続距離2,655km(増槽有り)
実用上昇限度12,770m
固定武装ブローニングM2 12.7mm重機関銃×4門(弾数1,780発)(P-51)
ブローニングM2 12.7mm重機関銃×6門(弾数1,820発)(P-51A以降)
兵装1,000lbs(454kg)爆弾×2発又は5in HVARロケット弾×10発


派生型

  • NA-73:
    原型機(英国向け、米国向け両方)の社内モデル名。2機製作。
    武装は機首12.7mm機関銃×2門、主翼に12.7mm機関銃×2門と7.62mm機関銃?×4門。

  • XP-51:
    米陸軍審査時の原型機呼称。
    NA-73原型の4号機および10号機。

  • P-51:
    米陸軍向け生産型。英国へ供与用として調達。
    武装は20mm機関砲×4門。

  • P-51-36:
    急降下爆撃機モデル。
    武装は12.7mm機銃×6門、227kg爆弾×2発。

  • P-51A:
    アリソンV-1710-81エンジン(1,200hp)搭載型。
    武装は12.7mm機銃×4門、227kg爆弾×2発。

    • F-6B:
      A型の偵察機型。

  • P-51B(NA-102):
    最初のマーリンエンジン搭載量産型。
    エンジンはV-1650-3(出力1,450hp)を搭載。
    武装は12.7mm機銃×4門。

  • P-51B(NA-104):
    NA-102の主翼に454kg爆弾が搭載可能な爆弾架を取り付けたモデル。
    イングルウッド工場で生産され、主にボマーエスコート(爆撃機護衛任務)に使用された。

  • P-51C:
    NA-102と同様の機体。ダラス新工場にて生産された。

    • F-6C:
      B/C型の偵察機型。

  • P-51D:
    V-1650-7(1,695hp)エンジン搭載型。
    武装は12.7mm機銃×4〜6門。
    後部胴体タンクの他、バブルキャノピードーサルフィン?が装備された。

    • F-6D:
      D型の偵察機型。

  • XP-51F:
    V-1650-3エンジン搭載の軽量化型原型。試作のみ。

  • XP-51G:
    マーリン14SMエンジン(出力1,910hp)搭載の軽量化型原型。試作のみ。

  • P-51H:
    機体重量軽減型。
    エンジンはマーリンV-1656-9(出力2,000HP(1,490kW))を搭載。

  • XP-51J:
    V-1710-119エンジン(出力1,720hp)搭載の軽量化型原型。試作のみ。

  • P-51K:
    P-51Dに似るがアエロプロダクツ社製プロペラを装備したモデル。

    • F-6K:
      K型の偵察機型。

  • P-51M:
    D型の機体にV-1650-9Aエンジンを搭載したモデル。量産されず。

  • P-51L:
    水噴射付きV-1650-11エンジン(出力2,270hp)搭載の出力強化型。計画のみ。

  • P-82(F-82)「ツイン・ムスタング」:
    2機分の胴体を並列に接合した長距離型。

  • F-51:
    米空軍設立後に改称された名称。各モデル名はそのまま。

  • A-36「アパッチ」:
    アメリカ陸軍航空隊で運用された攻撃機急降下爆撃機)型。
    基本設計は初期生産型に準ずるが、主翼両面に角形のダイブブレーキが新設されている。

  • Mustang Mk.I:
    英軍向け。エンジンはV-1710-39(1,150hp)を搭載。
    武装は12.7mm×4門、7.7mm×4門。

  • Mustang Mk.IA:
    武装をイスパノスイザHS.404 20mm機関砲×4門に変更した英国向け第二期生産型。
    供与P-51も同名。

  • Mustang Mk.II:
    供与されたP-51Bの英軍呼称。

  • Mustang Mk.III:
    供与されたP-51Cの英軍呼称。

  • Mustang Mk.IV:
    供与されたP-51D/Kの英軍呼称。

  • Mustang Mk.IVA:
    供与されたP-51Kの英軍呼称。


*1 これは下請け拒否の軍側が出した条件であった。
*2 生産は米国のパッカード社で行われていた。
*3 映画「トップガン」で主役を演じたトム・クルーズもD型を保有している。

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